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服バカ専用

普段から当たり前にシャツインしているのに、気の利いたベルトが無い問題。世のボトムスはイージーにゴムが大流行りの楽チン追求のベルトレス時代で、ベルト自体の需要が減った今、そもそも良いものが出てこないのは当然のこと。アンテナは張りつつも、ようやく重い腰を上げるきっかけになったのがRosaria Product.の細野さんと知り合ったことでした。彼は、熱心なビンテージウォッチ好きな方に1点もののオリジナル革ベルトを作る職人。何度か顔を合わせることがあり、古いスライドバックルを見せてもらった時にはパッとアイデアが浮かびました。アメリカ由来の俗に言う“ガチャベルト”を、アメカジから逸脱させて本気で少しイヤらしく作ってみようと。このスライドバックルは全てヴィンテージのSilver925で、その多くは60年代から80年代にかけて作られた個体。アメリカの企業ものや個人の頭文字が入ったイニシャルバックルを純銀で作った贅沢な時代です。ここにオイルレザーでは“The”になってしまうので、相反するものを用意してもらいました。

 

 

メインボディは革と言えばのトップメゾンHの傘下・アノネイ社のボックスカーフ。自社の他、ヨーロッパの高級靴メーカーからご贔屓にされるキメの細かい美しいこの革に、さらにバックル際の折り返し両面と剣先にクロコダイルをドッキングさせます。このクロコ使いが職人泣かせで、個体差があるスライドバックルに合わせて厚みを変えて作る必要があるため、クロコにカーフを挟み込むことが至難の技。班の凹凸に合わせて革をミリ単位ですきながら、各バックルが収まる最適な厚みを探っていくんだそう。実際に手に取るとすぐわかりますが、バックル形状に合わせて革の厚さや幅まで異なるオーダーメイドです。ニューヨークのPaul Stuartのもの(EMC)や、珍しい縦長バックル(L)、当時の時代性を感じるシルバー925に金メッキを施したもの(WHE、IK)など、個性的なものが揃ってます。

 

 

素材選定、デザイン、制作までわがままに付き合ってもらい、細野さんとだから出来るものにしよう、服バカ専用で作ろうと企画して一切妥協しなかったのでそれなりの価格になりましたが、靴然り身につけるアクセサリーはその人の最もパーソナルな部分。尖ったものを身につけたいですね。フランスの古いリネンで作られた巾着もつきます。今週末は6.19(土)、6.20(日)とオープンします。

 

 

21.6.19 – Sat

Vintage Silver Slide Buckle Belt
Box Calf / Tannerie D’annoney – France
Crocodile Leather
Vintage Silver 925
F
59.400 tax in ( 54.000 )