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ANSNAMとTailored Vest

 

ここ数年は海外ブランドでない限りリサーチすることは殆どやってなくて、ご縁とタイミング任せ。ブランドビジュアルを足掛かりにアポ取ってコレクションを見ると「あれ、何にも感じない。好きじゃない」ていう事が多い。不思議と最近は個性的で面白いブランドさんから声をかけてもらって、それが本当に素晴らしい作り手との出会いとなり、柿乃葉らしいスタンスで仕事する機会が増えてきました。MAATEEやensou.、そして今季から取り扱うブランドもそんな始まりです。ANSNAMも聞いたことはありましたが、見たことは無く。港区のアトリエで中野さんに会った時、熱心に蘊蓄を語るタイプでもなく、とにかく飄々(ひょうひょう)としていて「また初めて会うタイプのデザイナーだ」と思ったのが第一印象でした。殆どの商品を試着してANSNAMの世界観はしっかりと体で覚えて、その時はタイミングじゃなかったので「また次呼んでください」と。そこから3シーズン経って中野さんと作った第1作目がベストです。

 

 

 

 

以前にも書きましたがベストは大好きで、季節の変わり目には特に欠かせません。ワークやミリタリー顔のカジュアルなベストの気分はなく、本家パタンナーである中野さんと組むならテーラー仕立てのピリッとしたものが着たい。今回はジレの要素と、袖付けする前のテーラードジャケットの合いの子のような出立を目指してます。選んだ生地は割と番手はありながら光沢も備えたアイリッシュリネン。タテヨコが青緑とベージュ系のシャンブレーで、これがすごく魅惑的な色合いで、ネップやフシなどリネン本来の粗野な部分も加わって気に入っています。デザインの最大の特徴がラペル部。上襟を丸ごと省いたような意匠で、生地の余剰をひっくり返しただけのような、気の抜けた雰囲気があると思います。そして、ラペルのみ生地を裏使いさせているのわかりますか。ボディはグリーン勝ちですが、ラペルはうっすらベージュ勝ち。

 

 

 

 

 

ダーツ位置やパターンが独創的で、合わせとしては3Bの段返り気味。真ん中のボタンだけ止めると、裾に向かって強めにカーブしながら外に逃げていきます。とは言えクラシックスタイルでは無いので、ラペルを開いて上まで留めても良いし、羽織るように着るのも良いです。裏地はANSNAMオリジナルのキュプラストライプ。サイズは02と03を用意しました。02で身幅50、着丈72、肩幅45、03で身幅52、着丈74.5、肩幅47です。写真では僕(177、66)で03を着ています。少しゆとりある感じで、カマも深く取ったので中が薄物だと02も普通に着れました。ベストの着こなしは自由で幅広いですし、何でも無いスタイリングを劇的に変えてくれたりもします。スメドレーのニットでも、ドレスシャツでもカラーシャツでも、お気に入りの古着のTシャツでも。

 

 

 

 

今回はドレトラに合わせましたが、すかすかに色抜けしたデニムや、軍パンとかに合わせてもハマるはずです。カバーオールとか羽織りの内側に挟むのも良いですね。今週の営業日は明日のみ、発売8.11(木)からです。週末営業はありませんので、お気をつけください。8.12(金)の正午頃に商品帖に更新します。発送は8.19(金)を予定しています。

 

 

 

 

22.8.11- Thu

Ex Tailored Vest
Linen ( Ireland ) / Lining _ Cupra
Khaki
02 / 03
63.800 tax in ( 58.000 )
ANSNAM