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リアリティかファッションか

 

デニムって不思議なもんで、家には束になって畳まれていても、ほとんど同じものしか履かない。その時の気分やスタイリングに強く影響を受けるものだと思います。最近はテーラードを着ることが多いので、デニムの出番も多くなりました。今はほぼ40sのUS NAVYを選んでて、このパッチポケットが良いんですよね。ベイカーとかと同じで、フロントに大きく四角いステッチが入ってるじゃないですか。これが肝で、デニムの中でもよりカジュアルな見え方になるので、綺麗なテーラードに合わせると良い塩梅になります。普通の5ポケットだと、それこそさらっと普通過ぎてしまって。そんな折にMAATEEから出てきてしまいました。このパッチポケット付きのデニムは形はM35型で、これは僕が履いているものより少し前に作られた陸軍ファティーグで、米軍が初めて採用したブルーデニムモデルでもあります。状態が良いものは都内高層ビルの家賃くらいの価格になってきて、気軽に手に入れるものではなくなってしまいました。これを松村さんは精巧にディテールを採って、そして太めの美しいパターンで作った。めちゃくちゃ良いシルエットしてます。デニムの組織は通常は3×1の“4つ綾”ですが、これは2×1の“3つ綾”。少しシャープな見え方になります。リアリティある加工も申し分ない。本当に良く出来ていて気に入ってしまって、柿乃葉ではインラインはつまむ程度しか仕入れないことが多いんですが、これは割と数入れしました。ウエストは尾錠で調整することもできます。

 

 

 

 

 

あまりに好みだったので、インラインのデニムと違うベクトルのものを作りました。生地など全て同一です。これは“ハズす”という行為をもっと誇張していく目的で企画しています。M35ベースと言えばゴリゴリビンテージ、ゴリゴリ軍ものではありますが、これをデザイナーズ的な要素と言うか、もっとファッションデニムの方向に振ってみたいなと。気分的にはモードっぽく(死語?)履きたい。そこでお願いしたのが、限りなくのっぺりと、抑揚をつけない様にハイブリーチしてもらいました。リアルなビンテージ加工の正反対の、人工的に脱色していった感じ。生のデニムから履いていても絶対に到達しないであろう色抜け感で、うっすらとブルーが残るくらいまで攻めました。

 

 

 

 

繰り返しになりますが、テーラードとの相性、テーラードのハズしを軸に考えています。来季の仕入れももう終盤ですが、テーラードばかり仕入れてるし作ってまして。インラインの方は穏やかにナチュラルにハズせます。ハイブリーチはもっと強いハズし感がでます。よりファッション感と言ったらいいでしょうか。一般的に難しいベージュのJKTで軽やかに着こなしてもおじさん感が出てこないと思っていて、濃いネイビーや黒などにパツっと色差を出す、ひと昔前の着方もこれからまた新鮮じゃないですか。サイズもインラインからいじってませんが、ハイブリーチへの加工の段階で縦方向に僅か縮みが出ています。横は殆ど誤差無し。ハイブリーチの各部サイズは1で総丈101.5 胴囲39.5 股上35.5 股下69 裾幅24、2で総丈103.5 胴囲41.5 股上36 股下70.5 裾幅24.5、3で総丈105.5 胴囲43.5 股上36.5 股下72 裾幅25です。加工ものなので多少の個体差はあると思いますが、インラインはこれより股下で約1cm、総丈で約1.5cmくらい長いです。今週末は、金土の営業になります。履き比べるとわかるのですが、インディゴデニムとホワイトデニムくらい全く違う印象になります。コーディネートが異なってくると思うので、シルエットが気に入った方はこれは2色揃えても頻繁に履くものになると思いますよ。是非、お気に入りのジャケットを着てきてもらって、履き比べてみてください。在庫は日曜に商品帖へ移します。

 

 

 

 

 

 

23.3.17- Fri

Ex Mil Denim High Bleach
Cotton Denim
High Bleach
1 / 2 / 3
47.300 tax in ( 43.000 )

Mil Denim
Cotton Denim
Indigo Fade
1 / 2 / 3
42.900 tax in ( 39.000 )
MAATEE&SONS