2024.09.25
魅惑のFendart
ANSNAMの中野さんとパリ在住のモデリストの2人で作るFendartは、本格的に作り込まれたトラウザーを主軸とするブランド。ANSNAMの展示会の傍らに並んでいるから、何シーズンも前から商品は見ていてその度に試着もしていたが、買い付けにまで発展することはなかった。どちらかと言うとスッキリとしたパンツを履いている印象の中野さんが手掛けるFendartは、これまでの僕にはラインが細いかなという印象だった。が、今回リリースするに至った理由としては単純なもので、ボトムスの気分が少しづつFendartに寄ってきたからだ。特にこのNo Tuck Slacksは以前も履いたことがあったはずなのに、今回のタイミングでは「これ、今履きたいやつだ」と思ってしまった。太い、細いに関わらず少しづつフレアも履く機会が増えていることも大きい。しばらくご無沙汰だった浅めの股上、そしてやや細めのワタリからやや広めの裾に向かってストレートに落ちる。数値を見るとフレアでは無くストレートだが、人の足は太腿よりふくらはぎの方が細いから、筒として空間に余りが出る裾側が広がったように見える。そう、このパンツはストレートなのに、微フレアに見えるのだ。No Tuck Slacksにはあの頃のデザイナーズ感があり、これを履くだけでどんな服を合わせても洗練されるような感覚がある。気分のシルエットには、絶対履く最上級をぶつけるのが正解であろう。中野さんの手持ちの膨大な生地の中でも最も高いだろうドーメルをさっと手元に呼び込んだ。冬を除いた3シーズン活躍する肉感、原料の良さがモロに伝わってくる惚れ惚れするウールの質感と光沢、そこに控えめな織りストライプ、さらにもっと控えめなブルーの極細ラインも走っている。近くから見てもこのブルーは伝わらないくらいで、無地グレーと言ってしまっていいだろう。このNo Tuckにはモノトーン主体に(トラッドよりモードな?)パリッと感あるスタイリングをイメージしていて、普段僕が好んで履くグレーより濃いめ、チャコール寄りのミディアムグレーというのも良い。40で胴囲42.5、股上25.5、股下94、ワタリ32、裾幅22.5、41 1/2で胴囲44、股上26、股下97、ワタリ33、裾幅23。裾はフラシなので股下75cmと仮定して裾幅を計測してます。大きい方は腰骨付近でベルトで絞ってください。僕(177、68)は41 1/2を着用。ドレスウエスタンとの相性が抜群。ウエスタンサボを所有している方にも。懐かしく美しい、鮮度溢れる微フレア的トラウザース。
そして2つ目はモデレートスラックス。ドレトラやジェフリーをよく履く方には、これも当たり前に好きになってしまうだろう。例えばドレトラと比較してみると、ウエスト設定がやや大きく、ワタリはやや小さく、裾は同じくらい広い。セミバギーと言うべきか。僕にとっても“いつもの的”なシルエットであり、そうなると素材は少しばかり攻めたくなる。面白い生地が出てきた。モヘア混ウール、茶のタマムシ。生地に寄ってみると、オレンジがかったブリック、緑みのブルー、この2つの糸が生地を創り、結果として茶のタマムシとなっている。茶の上にうっすらと霧がかかったような表面感。角度によって生地の奥から赤っぽく、そして緑っぽいモヤが浮かび上がってくる。肉感としてはこれも真夏と真冬はお休みの、幅広い季節に対応する生地だ。モヘアと言えばのチクっと感も皆無で、適度なハリは備えているからラインも綺麗に出てくれるし、モデレートに相性の良い素材だ。サイズは40で胴囲42.5、股上31、股下86、ワタリ34、裾幅25、41 1/2で胴囲44、股上31.5、股下89、ワタリ35、裾幅26。こちらも裾はフラシ、股下75cmと仮定した裾幅寸。僕は41 1/2を着用です。ご覧の通り、Fendartは各スペックに対してウエスト寸がやや大きめなので(体型が崩れてきた?)僕らおじさん世代には好都合。基本は大好きなベルトで絞ってください。タマムシとは言えど、強色にも寄り添ういつも万能な茶。全く異なる、2つの魅惑のFendartをお楽しみください。金土の営業、在庫があれば日曜正午に商品帖にアップします。
24.9.27 Fri – 9.28 Sat / 12:00- 17:00 @柿乃葉
24.9.29 Sun / 12:00- @柿乃葉商品帖
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Ex No Tuck Slacks
Wool – Dormeuil ( France )
M.Gray Stripe
40 / 41.5
88.000 tax in ( 80.000 )
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Ex Moderate Slacks
Wool90 Mohair10
“Tamamushi” Brown
40 / 41.5
77.000 tax in ( 70.000 )
Fendart