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L.ROLAND 2

 

服好きと呼ばれる人達にも属性がある。大きく分けると素材寄りの方、ファッション寄りの方が存在し、前者は他には無い優れた素材、面白みのある素材を肌の近くに置くことに幸福感を抱き、それらをシンプルに料理する。後者はと言うと、新旧色々なものをMixしながら、アクセサリーの足し引きとそのバランスを常に気にして、今日のスタイリングの鮮度に高揚感を求めている。後者の場合、前者の感覚を持ち合わせていることも多く、僕らのような服飾業界に身を置いている存在としては、その両方を持っておきたい。どちらかと言うと、柿乃葉に常日頃来ていただいている服好きは前者が多いと思う。見たことのない、触れたことのないものに歓喜し、所有したくなってしまう。23AWのこと。NICENESSから“36色絣”と銘打った刺激的な素材が発表され、リリース前からこの素材にザワザワしていたし、それを落とし込んだジャケット“L.ROLAND”はあっという間に完売することになった。1年後のプレビューに行くと、新しい“36色絣”が並んでいた。美しかった。迷うことなく、L.ROLAND 2を依頼した。去年モデルはボルドーなど暖色系を主とした6色、6パターンの絣糸を精製し、平織りを変形させたブッチャー組織で織り上げたものだった。*下の写真の後ろにあるのが、去年モデル。

 

 

 

 

 

 

今季はまず、色のアプローチが変わった。ブルー、ネイビー、チャコールがメインになるように組み、そこにオレンジ、イエロー、グレーを差して、新たな36色絣としている。例えばブルー系の濃度・彩度違いで数色、オレンジ系で数色といったように、微妙に異なるように段染められた36色からこの生地が出来ているということだ。この話だけを聞いても、素材好きはワクワクしてしまうものだ。さらに、ブッチャーからヘリンボーンへ組織を変えた。使っている糸の番手こそ同一だが、ヘリンボーンにすることで生地表面に出る絣の色が目立つようになり、絣糸の魅力がさらに増しているように思う。ちなみにヘリンボーンに織ったという確かな事実はあるが、この糸で織ると、その杉綾感は全くと言って良いほど目視できない。しかし織りが変わると、質感も変わるのが面白いところだ。去年のブッチャーは弾力やシャリ感があったが、今季のヘリンボーンは何だかふわっとしている。表面には毛羽のパウダリー感を纏い、その柔らかさも増して、JUJUくらい優しさで溢れている。その他、色の変化に沿うように、襟裏の色がチャコールに、裏地がブルーになった。

 

 

 

 

 

 

去年モデルを結構な頻度で袖を通して思ったこと、この36色絣ジャケットは本当にデニムと相性が良い。今回の配色はブルーやネイビーが主にあるので、さらに親和性が高い。僕自身としては、去年よりレイヤーを楽しみたい感が増していて、気温が下がるに連れて、薄いものから重ねていきたいと思っている。最後はシェルや、オーバーベストを羽織る。サイズも去年と同様、価格も上がっておらず優秀です。Mで着丈74.5、身幅55、肩幅45、袖丈61.5、Lで着丈76.5、身幅57、肩幅47、袖丈62.5。ジャケットとしてはゆったり目だが、内側に何を着るか、上まで留める着方をするか等で変わる方も多いでしょう。ご来店される方は、合わせたいニットなど持ってきてもらえればベターです。金土の営業に関しては、もし混雑する状況となれば、1人づつのご対応とし外でお待ちいただくこともあるかと思います。在庫が残りましたら、日曜の正午に商品帖を更新します。絣職人の伝統的な手仕事、それを織り上げる旗屋の技術、それを服として表現するNICENESSの仕事。今季で最後と噂される36色絣、この美しいプロダクトに触れてみてください。

 

 

 

 

 

 

24.10.25 Fri – 10.26 Sat  / 12:00 – 17:00 @柿乃葉
24.10.27 Sun  / 12:00 – @柿乃葉商品帖

Ex L.ROLAND 2
Wool66 Nylon19 Cotton15
Lining _ Acetate100
Multi
M / L
165.000 tax in ( 150.000 )
NICENESS