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Smooth Turtle Knit

 

 

 

 

 

昨日、ようやく寒さを感じられるようになったと思ったら、風邪をこじらせた。シースルーのロンTeeとニットベストでは耐えきれなかったようだ。今日はタートル、リブカーデ、シャツと薄物を重ねている。昼から20度を超えそうなので、そうしたら脱げば良いだけだ。単純なレイヤーの楽しさと効率性を自覚し始めてから、ハイゲージのタートル無しでは冬を迎えられなくなった。先日のBLACKBIRDのタートルカットソー然り、この季節から春まで通してマストで必要なもの、それをkakinohaオリジナルとして作ってみることにした。一般的なオリジナルのように、そこそこのクオリティで安価なものを作ろうとは思っていないし、顧客様にも求められていないだろう。当然、原料にはこだわるし、着心地が良いことを重要視する。原料にはイタリアはアルビニ社のSUPER140ウールを使用することになった。繊維長のある極細の梳毛用の原料を、なんと綿紡績にかけるという特殊なものだ。コットンウールなど混紡であればまだしも、ピュアなウール100%を綿紡績にかけることは日本ではほぼ例がないようで、イタリアが誇るビックカンパニーだからこそ実現可能な稀有なプロダクトと言える。この紡績により、毛羽が少なくドライな質感となり、柔らかくもキリッとした風合いになる。精製された糸を3本取りし厚みを持たせていくが、3本の単糸をそのままを撚るテストをしたところ、極度に斜行したそうだ。結果、単糸1と双糸2に分けて引き揃え、糸とした。安定感が増すが、これによって特にダークオレンジは横段のような柄が出て、趣きがある表情になった。着心地としてはカシミヤなどの落ち感のあるトロトロとはまた別もので、綿紡績により適度なコシも備えており、後述する特徴的なシルエットとの相性も良い。そして、この糸は防縮加工も加わっている。品質はドライクリーニング表記ではあるが、僕はどんなニットも手洗いするから、その点において過度な注意も必要ないだろう。ここからの風合いの変化も楽しめそうだ。

 

 

 

 

 

 

生地感は、例えば王道のスメドレーで言うと最も薄手の30Gや、24Gよりは厚手であり、コンサバティブな雰囲気を備えたものではない。ハイゲージニットと言えるが、適度なカジュアルな肉であり、透けも殆どなく、男性が着るハイゲージはこのくらいの肉がベストではないだろうか。タートルは首からの風の侵入を遮断し、薄手のマフラーを巻いているような暖かさを保持するものだ。ただし、一言タートルと言えど、ネックから見えるビジュアルも千差万別である。僕はネックから離れるそれはだらしなく見えて好きではなく、とは言え、詰まりすぎもしんどい。その高さや角度、フィットの調整など数回やり直してベストなバランスを探っていった。タートルを折り返すとドレス的な顔になるものだが、野暮ったくなる気がして僕は折り返すことはしない。カジュアルにクシュクシュさせて着るのが良くて、上まで伸ばした時に適度に波打ち、たるみが出るような着地とした。シャツやジャケット、ベスト、カーデ、スウェットなど色々なものの下に着る上で、ドレス感を抑え、好みのカジュアルな見え方になったと思う。そしてタートルのネックレイヤーと同じくらい好きなのが、袖口の遊び、カフレイヤーだ。ゆき丈を長くし、手が長い人でも、必ず袖先が見えるような長さに設定した。シャツのカフスの下に収まりが良いように、長めのリブは手首にピッタリと締める。そして、最大のポイント、袖先に“V”の切り込みを入れた。ウィメンズっぽいデザイン、これが正解だったようでとても気に入っている。いつものカフレイヤーに一癖加わって、他にはないキュートな一面が備わった。

 

 

 

 

 

 

インナーとしてだけの用途に振らない。このタートル1枚だけで着ることも必ず訪れるものだ。シンプルに見えながら、面白みのあるパターン、デザインを備えて、タートルだけでもファッションになる得るものにする。身幅とアームはインナー見えしないように割と大きめに作った。そこから裾や袖口に向かって強めに絞り、着丈も短めにしたことで、数値上の大きさは感じられないはずだ。この身幅感に着丈が長めだとだらしなくなるし、短めの方がその上に何かを着る時に邪魔もしない。スウェットライクな見え方?と言うべきか、腰位置でピタッと止まるようにしているが伸縮性もあるから、短めにするか、長めにするか、少しの調整はスタイリングによって変えれば良い。さらにコンサバ感を無くすために、肩位置に太めのガーターを入れた。サイド、フロント、バックどの位置から見ても、このガーター編みの切り替えはポイントになり、うるさくないデザインとして機能する。加えて腰リブ、袖リブの付け根にもさりげなくガーターを入れている。2サイズ展開です。8で着丈63、身幅59、肩幅48.5、袖丈68。9で着丈64.5、身幅62、肩幅51、袖丈70です。kakinohaブランドはドレトラ含め、僕が着るサイズを8としています。7も作ろうかと考えたが、この特徴的なパターンだと小柄な方も8で問題ないと思う。色も沢山ビーカーを取って、悩んだ挙句、4色に絞りこんだ。僕はこの手の商品は多色で持っていたいと思うので、6色、7色と作りたかったが、初めてなので。主役?のグレー。ブルーグレーといった感覚でしょうか。インポートっぽいカジュアルに着れるニュアンスグレーで、トーンで合わせても他グレーと差が出るようにしたくて作った。結局のところ、ドレトラ然り、やっぱりこれが1番着るものなんだと思います。そして万能選手、キナリ。合わないもの皆無、何者にもなってくれます。ひとつ考えられる、ネガティブポイントを挙げるとしたら、白いこと。ドライや手洗いが他のものより多めになる可能性はあるが、そこを差し置いても大活躍する色がキナリです。そして、差し色を2つ。まずはダークオレンジ。発色の良いオレンジにはしませんでした。カジュアルなオレンジに振ったので、色物を普段着ないという人もトライしやすい。デニムにも良く合うし、暖色系の服が多い方は、馴染ませるように色を差せるでしょう。最後にイエロー。これはライム系、レモン系で、スタイリングに刺激を作れる。重たくなる冬にスコーンと抜けを作れます。僕は1色では足りません。スタイリングによって使い分けできるように、大人買いします。いつも通り金土の店頭営業、在庫が残れば日曜正午に商品帖に在庫を移動します。今作の発表にあたり、Nikki ESSENTIAL PIECESの浅川さんに色々と力を貸してもらいました。いつも頼りになる女性。有難うございました。

 

 

 

 

 

 

 

24.11.1 Fri – 11.2 Sat  / 12:00 – 17:00 @柿乃葉
24.11.3 Sun  / 12:00 – @柿乃葉商品帖

Smooth Turtle Knit
Wool – Albini ( Italy )
Gray / Kinari / Dark Orange / Yellow
8 / 9
42.900 tax in ( 39.000 )
kakinoha