2024.12.04
Pinky Type3
去年の7月、本池さんに作ってもらったハンドメイドネックレス。純金と純銀をグラデーションと呼ばれる技法で結合したType1とType2は、柿乃葉史上で最も評価された商品だ。世界的相場より良心的ではあるが、この金額のものを打ち出すのは1つの挑戦だった。誰も見たことのない技巧と圧倒的な佇まいは毎日身に付けるジュエリーという性格も手伝って、多少無理してでも所有したいものになったと思う。僕自身も体の一部になったかのように、お守り的な感覚で肌身離すことはない。そして今回、本池さんとまた新しい取り組みにチャレンジした。とっておきのPinkyを作る。常日頃からパソコンを持ち歩いているが、タイピングにおいてもPinkyは邪魔にならないことも大きい。ネックレスと同じ、風呂でも寝る時も外さないつもりだ。この度、完成に至った“Pinky Type3”は、taupe D.Motoikeのリングではお馴染みのオクタゴン型をシグネットリングに落とし込んだものであり、さらに24Kゴールドで作るというものだ。Type1を身につけ出してから、24Kの深みある質感と経年美化に魅了されている。僕ら世代のいい大人(おじさん)が最も細い小指につけるPinkyなら、深みのある24Kが最適解だ。金のシグネット型は世の中に沢山存在する。その殆どが18K含めた合金だろう。銀や銅を混ぜた合金は硬度が安定しているため、キャストを用いて成形することが可能であり、生産効率の面では安定して供給できる。一方、99.9%が金である24Kは柔らかく硬度が低いため、そもそもキャストを使うことが出来ない。では、どうするのか?それは鍛金しながら、この形まで削り出すという途方もない労力に頼ることを意味する。ジュエリーデザイナーとの肩書きを持つ人であっても、純銀や純金を扱う人は少ない。ここまで1つの商品に時間をかける選択をできる人はそうそういないだろう。“taupe=モグラ”であることを思い出した。巣穴にこもってコツコツと制作に没頭することを楽しいと語る、本池さんだからこそ成し得たのが“Pinky Type3”だ。
24金の地金は元々は棒状をしているそうだ。それらを束ね、火を潜らせて柔らかくし、ベースとなる輪の塊を作る。そこから叩いて、火を潜らせてを繰り返して、リングとして機能する硬度を持たせていく。これは江戸時代の刀を作る鍛金の工程に近い。さらに小さな金槌ちに代えての叩き、何段階ものヤスリの工程を続け、地道に少しづつ狙った形まで削り出していく。トップはバーナーの炙りで24金が溶けた際の表情をそのまま残している。
先述の通り、オクタゴンにシグネットというバランスは鮮度が高く、デザインとしても洗練されていると思う。外側がオクタゴンはあっても、内側は円形という物ばかりで、手に当たる部分まで八角にするのは本池さんらしい作り込みだ。僕自身、指の関節が太く、これまでに付けてきたリングは関節に合わせた号数で選ぶと、下に落ちた時にぶかぶかになってしまい収まりが悪かった。だから長いこと結婚指輪以外は身につけていなかったのだが、内側が八角であると、その点においても幾らか解決できる。肉(皮膚)の逃げ場があると言ったら良いだろうか、オクタゴン型は多少きつくても関節を通ってくれ、下に落とした時も丸型より随分とフィット感が良く見え方も美しい。男性は僕と同じような理由からリングを避けてきた人も多いだろう。そんな方にも試してもらいたい。このPinkyのデザインは所謂シグネット型であるが、トップの大きさは控えめである。最初にプロトを削り出してもらった時は、一回り大きなトップだったが、サンプルを進めるにつれ小さくしていった。アメリカのカレッジリングなどの影響もあり、時代を経て今デザインされるシグネットはトップが大きいものが主流になっている。一方、シグネット文化が根付く英国のアンティークのそれは、こじんまりとした大きさだ。今回は24Kを用いることもあり、それに習ったボリューム感が大人のPinkyじゃないかとの結論になった。トップにかけてさりげなく厚みにグラデーションを持たせた造形を、サイドから見た時にやっぱり美しい。ピュアゴールドの深い色、鈍い光沢、手の仕事による不均一なエッジ、バーナーの跡。これが小指にあるだけで、1段階上のステージにいけるような錯覚を起こしてしまう。やはり、服だけでは完成されない。眼鏡、靴、ベルト、そしてジュエリー。小物のチョイスが、男のスタイルを作るものだ。
本池さん本人による削り出しの仕事によるので、当然個体差が生まれる。さらにサイズによっても見え方は変わり、同じものは1つも存在しない。18Kは金が75%で、残り25%が銀と銅を混ぜたものだが、硬度が高いので細かな傷は入りにくく、大きな傷が入りやすい。比べてこの24Kは、使用と共に細かな傷が入り深く鈍い光沢に変わっていく。上の写真は、私物(左)と新品(右)。24金ならではの深みのある色と質感はアンティークのように経年美化し、手にしっとりと馴染む感覚がある。
いくつか八角のリングゲージを作っていただいたので、受注会ではこれでサイズを特定していく。13号まで価格変わらずオーダー可能(珍しく女性もOK)。僕は9号だった。14、15号の方はチャージアップとなります。納品はtaupeカラーに染められた桐箱で。
今作は受注生産となり、店頭の後に商品帖受注に移ります。新作のType3、過去にリリースしたType1の受注が可能で、どちらも商品をご覧いただけます。納期は2月末から4月頭の予定で、1点の制作に多大な時間を要するため分納となる見込みです。分納の際は、店頭受注の方から優先に先着順でお作りしますが、商品によって多少前後する可能性があります。受注方法は下記のアポイントの方を優先としてご案内します。アポイント無しで受注ご希望の際は、予約が無いタイミングでしたらすぐに受注可能です。時間帯によっては長時間お待ちいただくこともあります。一部その他の商品もあり、常にご試着できる環境ですのでお気軽にご来店ください。また、KAKINOHAHANAREでは、同日12.6(金)から12.15(日)までtaupe D.MotoikeのPOP UPを開催しています。柿乃葉とは異なる、20アイテム程のインライン商品が並びます。HANAREは基本即売です。是非、両店合わせてご覧ください。最後に重要なこと、価格について。まずは手に取って見ていただきたいとの本池さんの意向もあり、純金、純銀を扱うハンドメイドジュエリーの作家としては、世界的に見ても良心的な価格設定を続けておりましたが、金、銀の著しい高騰、お1人での非効率な生産体制もあり、この価格での受注は今展が最後となります。来年にかけて、インライン含めて商品によっては大幅な価格改定があります。是非この機会にご覧ください。
<Appointment>
Day _ 12.6 Fri / 12.7 Sat
Time _ 12:00- / 12:45- / 13:30- / 14:15- / 15:00- / 15:45- / 16:30-
①氏名 ②携帯番号 ③ご住所 ④第3希望までの日時
4項目を明記の上、<問合せ>よりご連絡ください。
<問合せ>はこちらから
info@kakinoha-kamakura.com
*Type3、Type1共に、お支払いはクレジットか現金の選択、前金15万円(税別)か全額の選択が可能です。前金お選びの際は、受注品到着時にメール決済、または銀行振り込みで残金をお支払いいただき商品発送となります。
<商品帖>
12.8 Sun 12:00 – 23:00
上記の時間で商品帖を更新します。23時に締め切ります。Pinky Type3をご希望の方で、ご来店が難しい方は、お近くのジュエリーショップなどリングゲージがある店舗で小指のサイズをお測りください。特に小指はリングを付けていると多少緩む傾向があるので、関節をギリギリ通るぴったりのサイズで作ることが重要です。
*Type3、Type1共に、お支払いはクレジットと銀行振込の選択、前金15万円(税別)か全額の選択が可能です。前金お選びの際は、受注品到着時にメール決済、または銀行振込で残金をお支払いいただき商品発送となります。
24.12.6 Fri – 12.7 Sat / 12:00- 17:00 @柿乃葉
24.12.8 Sun / 12:00- 23:00 @柿乃葉商品帖
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Order Event
– Ex Pinky Type3 –
K24 ( Pure Gold )
♯3 – ♯13 / 396.000 tax in ( 360.000 )
♯14 – ♯15 / 440.000 tax in ( 400.000 )
– Ex Harvest Chain Necklace Type1 –
K24 ( Pure Gold ) / SV999 ( Pure Silver )
55cm
352.000 tax in ( 320.000 )
Delivery Date / Late February – Early April 2025
taupe D.Motoike