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K.DOYLLEと経年美化

 

 

 

 

 

 

過去にCOBI COFFEEというコーヒー専門店を作ったことがある。“古くなるも、尚美しい”それが古美であり、失われかけている純喫茶の精神性をリスペクトしつつ、現代的な3rd Waveに焼き直した店だった。服でもうつわでも家具でも買った時が最良なものより、時間をかけて経年美化していくものに心が躍る。経年美化と言うとファッション小物においては、必然的にレザーアイテムとなるが、その中でもバッグというカテゴリーに至っては柿乃葉で割と多くリリースしてきた1つである。スタイリングによってバッグは変える派だが、まずバックパックは自分のスタイルと相性が悪いので持たない。ショルダーは好き。休日はバッグを持たないこともあり、僕の中でバッグ=仕事用となるわけだが、使う頻度で言うと圧倒的にトートである。トートが自分のスタイルには1番合うと思う。長年愛用している大好きなトートが”H”のGP、素材はキャンバス×レザー。それなりの価格ではあるが、ビーントートを持つかのように汚れお構い無しにラフに使っていて、去年は2色目も手に入れた。25SS、NICENESSからDOYLLEという新しいトートバッグがリリースされた。これぞNICENESSと言わんばかりの遊びの効いたオリジナリティを感じつつも、初見から”H”の大好きなバッグと照らし合わせて見てしまっていた。100点。猛烈にタイプなバッグだった。DOYLLEは“1950年代米国のハンティングトートがベース”とある。郷くんの妥協のない素材選定と細部までの作り込みからくるオーラは、そんな野暮ったいバッグをベースにしたとは微塵も感じさせない。トートは荷物が増えるとしんどいが、DOYLLEはハンドルが長めですっぽり肩にかけれるのも助かる。インラインの2色も甲乙つけられないくらいほど良くてハナレに仕入れているが、“3色目を作るなら”というテーマで、より自分らしいものに着手する。

 

 

 

 


2つのスモーキーなグレーで迷いに迷った。この2色はとても似ている。そして、色出しが素敵すぎる。だったらとグラデーション的なコンビにして使わせてもらうことになった。Nハンドルのグレーは少し赤みがありブラウン寄り。それ以外の革は全てコンクリート的なストーングレー。パッと見では配色に気づかないかもしれない。

 

 

 

 


立体的なハンドルが美しい。職人による丁寧なコバの仕上げと縫製。神は細部に宿るのだ。この手のバッグとしては長めのハンドルで、男性の肩にもすっぽりと収まってくれる。

 

 

 

 


1950年代のキャンバスを参考に、太番手のコットンでオックスフォード組織で織り上げている。タテが白、ヨコをベージュに色を打ち替えた品の良さはメゾン的な面持ちだが、“H”のようにコーティングされた生地でもなくカチッとし過ぎずカジュアルに持てる。裏地はもう少し細番のコットン平織り。随所にあしらわれるレザーがとても贅沢。

 

 

 

 


財布、手帳、スマホなど必需品は大きなポケットに入れて、13inchのMacbookはタテでも横でも問題無し。11cm程のマチがあり、まだまだ入る。仕事用のバッグとして使うと仮定すると僕基準では大きすぎず、小さすぎずなベストな収納力。

 

 

 

 


上部には贅沢にHAASレザーの蓋。これがあると無いとでは、見栄えも安心感(海外では特に)も全く変わってくる。価格も。。スライダーのレザーの持ち手も長めで、開閉もスムーズ。

 

 

 

素材の話に戻って、DOYLLEはHAAS社のカーフスキン、コットンオックスフォードのコンビである。フランスはアルザス地方の名タンナーHAAS社の革はメゾン御用達であり、DOYLLEで使用するカーフスキンは実際に“H”製品でも使われている。湯煎で調整された9種のワックス&オイルをたっぷりと染み込ませたコンビ鞣し。クロムの安定感もありつつ、タンニン特有の美しいエンジング、増していく光沢が期待できる。そして古いキャンバスを狙ってオリジナルで織り上げたタテヨコ配色の太番オックスフォード。自分の中で役満の組み合わせだ。これ以上の組み合わせは想像できないので、色のみ想像を膨らませる。今作では靴との色合わせにベクトルを向けず、僕のスタイリングの核であるグレー、そしてカーキやベージュといった中間色との同調を狙っている。HAASレザーをスモーキーなグレーにすることで、普通ならばインラインのBLACKに採用しているグレーオックスを選びそうなものだが、あえてBEIGEの生成りオックスを組み合わせた。そこでグレーを選んでしまうと、僕の場合、モノトーンのスタイリングの時のみに引っ張り出すバッグになりそうだからだ。あえて生成りからグレーの流れにすることで、カジュアルに(気軽に)使えるようになり、モノトーンにもアースカラーにも、色で刺すスタイリングにも調和してくれると考えた。届いたばかりだが、良い落とし所になったと自己満で、すごく気に入っている。冒頭に書いた、古美、経年美化。ガシガシと使って、誰もが楽しめるデニムの変化のように、育てて愛着が増していくバッグになれば良いと思う。サイズはW30、H35.5、D11、ハンドル56です。職種にもよりますが、仕事用としても使ってもらえると嬉しいです。別注も良いですが、。最下部のインラインのBEIGEも大好き。トラローファーお持ちの方、どんぴしゃです。今週も金土の店頭発売、在庫がありましたら日曜正午に商品帖を更新します。

 

 

 

 

 

 

 

25.1.31 Fri – 2.1 Sat  / 12:00 – 17:00 @柿乃葉
25.2.2 Sun  / 12:00 – @柿乃葉商品帖

Ex K.DOYLLE
Cow Leather – HAAS ( France )
Cotton Oxford
Gray Multi
F
159.500 tax in ( 145.000 )
NICENESS