2025.04.10
水墨WILSON
久々にWILSONをリリースする。1作目は21AWの友禅染め(手記はこちら)。23AWには2作目のバッファローと柿渋(手記はこちら)。NICENESSはシーズン毎に様々な素材作りに着手するが、その中でも日本の伝統的な染色や手仕事をリスペクトし新解釈を加えて作る素材がある。僕自身、Japan Traditionalをモダンに焼き直すアプローチが大好きで、世界に誇れる価値のあること(もの)だと思っている。そしてNICENESSから特に惚れ込んだ素材が出てきた時のみ、このWILSONに応用出来ないかと考えてきた。WILSONは、仕事にもプライベートにも使い勝手が良くお気に入りのバッグだ。25AWの展示会。またまた、郷くんが斬新なアイデアでユニークな革を作った。原皮は国産の上質なカウレザー。ストレスなく育った牛のあえて皮膚のシワや傷などの自然の証を持った皮を選ぶことからスタートする。これを日本のタンナー技術によって、もちもちっと吸い付くような、とにかく柔らかい下地革に仕上げる。そしてここからがユニークで、この下地革の状態で実際に書家が一筆づつ水墨で、筆入れをして文様をつけていくそうだ。筆入れの際の墨汁の濃度や筆圧の具合により、フィニッシュ後の柄の出方に大きな違いも生まれてくる。描き下ろした下地革が完成した後、ようやくドラム染色を施す工程に移っていくが、一般的な合成染料ではなく墨汁を入れてドラムを回していく。墨で描き、その上からさらに墨で染める。こうして完成したのが、NICENESSがチャレンジした水墨革だ。2週前に行った受注会もとても好評で、あのensou.のGジャンと同じく墨での染め。染め上がった革はナチュラルな墨色をしており、それが運良く僕好みのライトグレーのレザーだったのだ。
これまでのWILSONは革と生地のコンビでリリースしてきたが、今作の牛革の柔軟なタッチが気に入って、オールレザーでいくことにした。片面は水墨革の無地に、NICENESSとkakinohaのコラボの“NK”パンチングワッペン。もう片面には水墨による文様が入ったものをあしらう。インライン同様に刷毛目を中心にしながらも、書家さんに柿乃葉の”k”をランダムに入れてもらった。もちろんこれらは全て手描き。文様の出方は、筆入れ時の墨汁の濃度、筆圧の具合により大きく異なってくる。
下地革に1筆づつ文様を描き下ろした後、ドラムで墨染め。そこから裁断して職人の手により仕立て上げられる。文様のどの部分を取るか。必然的にそれぞれが全く異なる柄の出方になるので、全てがアソートの1点ものの感覚に近い。侘び寂び感のあるシンプルなもの、”k”の調子がリズミカルなもの、刷毛目の強弱が力強いものなど、店頭では数種類から好みの個体を選べるようにします。
WILSONはマチが膨らむような構造で、ブランド定番のLOWEと比較しても収納力に長ける。内部の3つのポケットにはスマホ、ウォレット、手帳なんかを整理して、パソコンはタテヨコ共にすっぽりと収まり、さらにまだ余裕がある。
グレーの服がクローゼットに増えていく中、グレーのバッグは簡単にスタイリングに溶け込んでくれる。いつもの靴に色を合わせるのではなく、服に馴染ませていく感じ。とは言え、ライトグレーのレザーバッグを探そうと思っても容易ではない。ましてやこの色出しや柄が日本の伝統的な墨の力を借りたものであること、このチャンスを逃すまいと、しっかりとWILSONとして成立させることが出来た。WILSONは肩掛け、斜めがけだけでなく、ストラップを繋ぐフックが簡単に取り外せて、軽快にハンドバッグにもなる。それでいて容量もなかなかのものだ。持ち方や物量で四角から三角に形を変えるWILSONに、この革の柔らかさがジャストフィットしていると思う。サイズはW38cm、H35cmほど。ストラップは最長69cmで、好みで結び目を変えて短くすることもできる。ここも革の柔らかさが、結びやすさを助長している。ひとつひとつ見え方が異なるので、見比べたい方は是非店頭へお越しください。金土の営業。アポイントではありませんが、今週は選んでいただくスタイルでの営業となるので、混み合う際の入店は1人づつお入りいただく形になる可能性があります。金曜は天候の心配があるので、雨具などお持ちいただけると助かります。在庫が残れば、日曜正午に商品帖に在庫を移します。商品帖は柄をお選びすることが出来ず、ランダムにお送りする形になります。
25.4.11 Fri – 4.12 Sat / 12:00 – 17:00 @柿乃葉
25.4.13 Sun / 12:00 – @柿乃葉商品帖
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Ex H.K.WILSON
Cow Leather ( Sumi-Dyed )
INK
F
132.000 tax in ( 120.000 )
NICENESS