2025.07.23
ANSNAMのネイチャーシャツ

ANSNAMと久々に物作りを行う。中野さんは独自路線のオリジナル生地の開発にも積極的だが、ユニークなインポート生地も常にチェックしているデザイナーだ。展示会の最中、欧州の色々な生地スワッチを見せてもらっている中で、これまでに見たことのない印象的な生地に目を奪われてしまった。それが今作で使っているLyliaのビスコースである。天然繊維か化学繊維か、また染料の種類やその方法にもより異なるが、基本的に“染色”は高温で行う。発色良くムラのないように仕上げ、しっかりと定着させることを目的とするからだ。ビスコースは木材パルプを主とした天然由来の再生繊維であり、縮みの心配なども伴うため極端な高温での染めは行わないが、この生地に至っては不均一でムラのあるナチュラルな表情を求めて“コールドダイ”と呼ばれる低温染色をしている。日本人には“不完全な美”に対する潜在的な価値観があると思う。歪んだ飯碗、欠けた木皿、褪色した手織り絨毯。僕自身も不完全なものに特別な感情を抱いてしまうが、見習いの染め職人の失敗作のような“まだら”な染めと、トロみあるビスコースの掛け合わせにまんまとやられてしまった。この生地を用いて、だらっと着れる心地の良いシャツを作ってもらう。

トスカーナで2002年創業のLylia(リリア)のユニーク過ぎる生地。創業者は“日本の侘び寂び”を一つの生地作りのテーマと掲げている。パーツによりグラデーションのように変わる色と染めムラが最大の特徴。デザインはレギュラーカラーの途中とカフスの先をチョップしてもらって、内側の接着芯をあえて見えるように。ボタンはこのナチュラルな生地の流れを組んで、全て天然石にしてもらった。Fade Camelにはユナカイト、Fade Blueにはボツワナアゲートをチョイス。個体差のオンパレードで、特にボツワナアゲートは様々な色があり、全てアソート。当然、石の形状によりボタンホールの通りが良かったり悪かったりするが、そこもこの商品らしさ。山や海がシャツの中に潜り込んだ、ANSNAMのネイチャーシャツが完成した。

ゆるっとしたリラクシーなパターン、自然風化のようなムラ感、ビスコース生地のトロみといった3要素の相性の良さ。Fade Camelはテロテロで落ち感が強く、ナイロン混のFade Blueはややハリもあって適度に形が出る。季節が進めば上質なタートルニットなどの上に羽織れば良いが、中間的なシーズンにはシャツオンシャツも楽しいと思う。生地自体に特異な“味”があるので、下に着るシャツとの質感の差までもスタイリングする上での面白さとなる。

基本少量生産を是とする中野さんは、細かい所までの要望を可能な限り受けてくださる。このシャツには個人的嗜好を思いっきり詰め込むことが出来た。きっと圏外な方には何にも刺さらない摩訶不思議なシャツだろうが、少数派のアルチザン嗜好のある方にはスペシャルなシャツになっただろう。サイズ感について、TシャツもテーラードJKTもレザーBLも基本ジャストが気分だが、シャツは少し感覚が違って大きめに着るのが心地良い今。中に“何か”を着れる余白があることで、季節毎のスタイリングも広がりを見せるはずだ。各部サイズは、未洗い状態で03で着丈84、身幅69、肩幅56、袖丈62.5。04で着丈86、身幅71、肩幅58、袖丈64。僕(177/68)は04を着ています。いつものシャツに比べて着丈はやや長く身幅はだいぶ広い。が、ビスコースは洗うと少し縮みが出る。ANSNAMのアテンションタグとしてはドライクリーニングであり、水に触れることを避けてもらいたいが、僕はレザーBLもスラックスも洗うので、シャツも当然洗います。その場合は、手洗いでお湯は使わないこと、中性洗剤使用、脱水はネットを入れて裏返しにして短めに(ボタンを包むように)、乾燥機は絶対NGです。上記、ミスをすると結構縮むことになると思うので、注意です。あくまで洗濯に関しては、自己責任でお願いします。ANSNAMとのネイチャーシャツ、本当に好きな方に届くことを願います。金曜土曜で(久々に)店を開きます。在庫が残りましたら、日曜正午に商品帖に在庫を移します。

25.7.25 Fri – 7.26 Sat / 12:00 – 17:00 @柿乃葉
25.7.27 Sun / 12:00 – @柿乃葉商品帖
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Ex Chopped Collar Shirt
Fade Camel – Viscose _ Lylia ( Itary )
Fade Blue – Viscose74 Nylon26 _ Lylia ( Itary )
03 / 04
74.800 tax in ( 68.000 )
ANSNAM



