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K.COOGAN

 

 

 

 

学生時代にアメリカ古着からどっぷりファッションに浸かり、それから無意識に、あるいは確信を持って手に取ってしまうのがペインターパンツというカテゴリーだ。そのルーツを辿れば、19世紀から20世紀初頭にかけて、画家や塗装職人が作業時に着用したワークウェアに突き当たる。刷毛を差し込むためのツールポケットや、ハンマーを吊るすためのループ。それら「用の美」が生んだディテールは、今やファッションにおける記号となったが、このパンツに惹かれる理由は、その歴史的背景以上にある種のアンバランスな美しさにある。古着であれ新品であれ、ペインターが持つ独特の太いシルエットには、適度な野暮ったさが宿る。しかし、単にルーズなだけではない。特筆すべきは、腰回りの設計の妙だ。ワークウェアとしての実用性を追求した結果、ヒップからウエストにかけては意外なほどスッキリと無駄がなく収まりが良いのだ。この“太い脚周りとジャストな腰回り”のコントラストが、現代のスタイリングにおいて重要な役割を果たす。夏場にTシャツをタックインした時、腰回りがもたつかず潔いラインを描くことで、ワークパンツ特有の無骨さが打ち消される。季節が進み端正なテーラードジャケットを羽織る時、足元にこのペインターを添えるだけで、いとも簡単に“ハズし”が生まれ、緊張感あるスタイルに心地よい隙を与えてくれる。この汎用性の高さこそ、僕がペインターパンツが手放せない理由だ。そんな中、NICENESSの26SSコレクションに、“COOGAN”がデビューした。リネンコットンシャンブレーを用いたそのペインターパンツは、アメリカの外装にフレンチヴィンテージの“メティス”を彷彿させる生地、そして何より手に取った瞬間に確信を持てるほどの抜群のシルエットが備わっていた。しかし、インラインで展開されていたのはインディゴのみ。もちろんそれも魅力的だが、僕の頭の中には別の景色が浮かんでいた。同生地を特殊な手法でブリーチしオーバーダイした、立体裁断パンツ“DICILLO”。残念ながらこのパンツのシルエットは僕には似合わなかったが、シャンブレーの奥行きをさらに深めたような、光と影が混ざり合うその絶妙な色調に強く心を奪われた。この独創的な色を、僕の中での完璧なシルエットである“COOGAN”に乗せたい。“K.COOGAN”の企画が始まった。

 

 

 

 


このパンツの根幹を成すのは、徹底的に作り込まれたリネンコットンシャンブレーの存在だ。経糸にはインディゴ染めのコンパクト糸、緯糸には表情豊かなリネン糸を採用し、限界まで高密度に打ち込んでいる。その結果、生地にはプリンとした力強い反発感と、底から湧き上がるような奥行きのある光沢が宿った。特筆すべきは、職人の手作業による狂気的なまでの加工プロセスにある。ベースとなるインディゴからの特殊なフェード加工、オーバーダイを幾重にも組み合わせ、意図的に陰影とムラを創出。急に春がやって来たかのような高揚感のある、唯一無二のテクスチャーが完成した。この過酷な加工を施すことで、高密度だった生地は程よく痩せ、驚くほどくたっとした柔らかな質感へと変化している。当然、肌あたりはさらに良くなり、真夏の茹るような暑さでも快適に過ごせる生地へ昇華。色展開は、どちらも既存の概念を裏切る。Ice Blueはインディゴが完全に抜けきった果ての、微かに青みを湛えたホワイト。Azureはヴィンテージでも見たことのない、青みと黄色みがかったグリーン。この加工はディテールにも及び、本来濃紺だったジップテープまでもが鮮やかにオレンジにブリーチされ、意図せぬデザインの一部となっている。

 

 

 

 


ワークの記号だけでなく機能美もこだわったのが“COOGAN”だ。無骨なツールポケットや尾錠などの“THE”なディテール、ひっそりと隠れたコインポケット、ヴィンテージ好きには嬉しい“TALON42”Zipを採用するなど、細部からこのパンツの本物感を裏打ちしている。股下に目をやると“ガゼットクロッチ”が施されていた。ヴィンテージにも存在する運動量を確保するためのこの切り替えは、NICENESSの手に掛かれば、複雑なパターンが生み出す造形美の一部となる。また、ウエスト設定はあえて大きめに取られており、ベルトで締め上げても良いが、バックの尾錠でも4cmから5cmほど絞り込むことができる。この「絞る」という行為によってヒップ周りに適度な緊張感が生まれ、ワイドなラインとの間に劇的なコントラストを描き出す。三本針のトリプルステッチが見せる陰影も、生地のムラ感と相まって静かに主張している。

 

 

 

 

 

 

着用時期としては、関東であれば4月から11月あたりまでと1年の半分以上を共にできると思う。そのため、合わせるトップスも季節の移ろいに応じて変化させていくのがこのパンツの醍醐味だ。Ice Blueはワイドなホワイトパンツとして捉えれば、その汎用性は極めて高い。白いリネンシャツを合わせて軽やかにワントーン、反対に黒で引き締めるのも良い。ワークシャツ“ELMES”とセットアップで着て、中に古着の鮮やかなTシャツで遊ぶのも楽しそうだ。そして、一見難しそうに感じるだろうAzure。僕はこの色にゾクゾクしてしまって、ここで着ないと絶対後悔すると思った。一足早くこのAzureを手に入れて春ジャケット、シャツ、半袖スウェットに合わせた新鮮なスタイリングが楽しんでいる。意外にも難しいことはなく、ベージュやブラウン、グレー系の落ち着いた中間色と合わせることで、一気に洗練された表情を見せる。あとは、このパンツだけに当てはまることでもないが、合わせるトップスによって穿き方を変えている。シャツを羽織る時はハイウエストでグッと絞り、一方でTシャツをインする時はやや腰を落とし気味にしてお気に入りのベルトをプラスする。そんな少し重心を下げた着こなしの時は、裾をラフにロールアップしてやるのも良い。思えば、ロールアップなんて久しく遠ざかっていた気がするが、この空気を含んだようなシャンブレーの質感と“COOGAN”のシルエットには、まくった裾の溜まりがよく馴染む。サイズ詳細はMで胴囲77-81、股上30.5、股下74、総丈103、ワタリ幅33、膝幅28.5、裾幅26。Lで胴囲81-85、股上31.5、股下76、総丈106、ワタリ幅34、膝幅29.5、裾幅27。 XLで胴囲86-90、股上32、股下76.5、総丈107、ワタリ幅35、膝幅30、裾幅27.5です。ウエストは尾錠を閉めた時と、開放した時。強めに加工によりサイズは多少の誤差が考えられます。僕(177/68)は全てのサイズを試した上でLを着用。Mも穿けるが少し丈が短い。XLは丈感こそLと大きく変わらないが、横のボリュームが増す。そのボリュームをベルトでギュッと絞りハイウエストで穿くバランスもまた、このパンツの造形美を際立たせる良い選択だった。加工によってすでに「痩せた」生地が、洗濯を経て再び自分の動きに馴染んでいくプロセスこそが、このリネンコットンシャンブレーの真価。時が経ち、さらに色が褪せ、生地がよりてろてろになった頃、“K.COOGAN”はヴィンテージをも凌駕する自分だけの特別なワークパンツに仕上がっているだろう。今週も金土と営業します。GW期間、関東外からのお客様ともお会いしたいです。在庫があれば、日曜正午に商品帖を更新します。

 

 

 

 

 

 

26.5.1 Fri – 5.2 Sat / 12:00 – 17:00 @柿乃葉
26.5.3 Sun / 12:00- @柿乃葉商品帖

Ex K.COOGAN
Linen63 Cotton37
Ice Blue / Azure
M / L / XL
69.300 tax in ( 63.000 )
NICENESS