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街のレストランでも田舎でも

急な予定が入ってレストランに行く時にも、田舎や家の近所をぶらっと歩いたりする時にもどちらの風景にも馴染む服が良い。気候や風景を連想して物作りをする小森さんの口からよく飛び出すワードです。ホームスパン織機で織られたカシミヤにシャギーかけてふわふわに膨らませたというこの素材。

 

 

遠目から見ると一見ボアのようにも見えるし、僕たちが知っているカシミヤのあの雰囲気より随分とカジュアルな面持ちですが、着ている本人は幸福感に満たされてしまいます。抜群に暖かいだけでなく、アウターを着ているのにふっと浮いた感覚と言うか恐ろしく軽い。そして裏地はキュプラではなくシルク。初めて袖を通す際は異次元の感覚に口角が上がってしまうのか。これだけ上質なものに包まれているのに、そのカジュアルな見せ方もあって気負わずリラックスして着れてしまうんですよね。着ていくとシャギー部分が絡み合ってダマになって自然に抜け落ち、フラットな面が出てくる。これも小森さんが冬に着続けたというそのエイジングを見ましたが、上質感と着古した感が混ざり合ってまさに唯一無二の世界。COMOLI節です。アウトドアブランドのボアジャケットじゃレストランでそわそわするし、エレガントなカシミヤでは田舎を歩くにはこっぱずかしい。この服は冒頭の小森さんの考えを最も体現しているものだと感じます。

 

 

昨年は濃いネイビーでしたが、今季はブラック。税別280,000円です。サイズは1と2でややゆったりという具合です。僕は2の方が気分ですが、1を着るとコートというかジャケットのような雰囲気で、こういう着方も良いなと思います。カシミヤと言えど守備範囲広く、とにかく気持ち良く楽ちん。手に入れたらこれしか着れなくなりそうです。