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Audoux Minet

今はほとんどが服と服飾雑貨という構成になってますが、柿乃葉のビジョンの先はファッション屋と言うよりライフスタイル屋。ここで言うライフスタイルとは服を含めた衣食住の好きなものを選び抜くこと。40歳手前になって残りの半分強の人生をどう生きるって考えた時に、僕にとっての幸せ分母の大半は家の中にあるんですよね。理想の場所や空間に住みたいという想いは仕事をする上でのモチベーションのひとつで、好きな箱、家具、うつわに囲まれて心地良く生きることって自分にとっては幸せなこと。柿乃葉の什器はジャンルに囚われないようにしていて、フランス、日本、北欧などを混ぜながらも自分の好きなぴりっとした緊張感を保てるよう慎重にバランスを取っています。自宅ではそこに李朝や中国のものも取り入れたりと。年末にも少し告知しましたが、今年は少しずつアンティーク家具やインテリアの仕入れを始めます。初回はフランスはオードミネの壁掛けミラー。柿乃葉を訪れる方に「これどこの?」って1番聞かれるのがこのオードミネのスツールで、自分自身すごく気に入っています。今僕が最も関心を寄せているデザイナーです。

 

 

オードミネは1940年から1960年にかけて活躍したAudouxとMinetによるユニット。1930年代後半よりコルビュジェやプルーヴェ、ペリアンといったデザイナー&アーティストが所属していたUAM / Union des Artistes Moderns (現代芸術協会)に2人の作品が目に留まり、彼らとの交流が始まったと言われています。中でも自然素材を愛するペリアンは、自分と同じ感性と技術をもったアーティストとしてその後も進行を深めたそうです。家具や建築好きなら誰もが知っている先述のデザイナー達と大きく異なったのは、オードミネの2人は自分たちの露出を出来るだけ避けていたということ。表舞台に出ることを好まず、南フランスの小さなアトリエで自分たちのペースで静かに精力的に活動を続けていたそう。そのために資料となるものがほとんど残っておらず、謎多きデザイナーでもあるのです。彼らが活動拠点としたカンヌを含めたプロヴァンス地方は、芸術的創造性を刺激する地域として知られています。温暖で自然豊かな気候がもたらした自然素材を用いることで、彼らが愛してやまなかった“プロヴァンス”を作品に込めたのです。

 

 

今回、仕入れたのは彼らの象徴的な材であるラフィアとロープを用いた壁掛けミラー。同じ雰囲気のものを探そうとしてもなかなか見つからない、オードミネにしか出来ない美しい涙型のデザインだと思います。南フランス、どこか海の香りもしませんか。鏡としては小ぶりではありますが、こういった壁掛けが部屋にあると空間の雰囲気が変わるはず。玄関から廊下にかけての導線、リビング入ってすぐの目線位置にどうでしょう。「白髪増えたな」「メガネ曲がってるじゃん」とか言いながらこの鏡を覗き込む毎日が、きっと素敵なものになるはずです。年代は1950年代後半から60年代前半。写真のようにガラスの外枠部分のパーツに1箇所小さな欠けがありますが、目立つものでもなく今から60年前のビンテージと考えると状態は良好です。

 

 

海外のギャラリー界隈でも特に評価の高いオードミネ作品。ここ数年でだいぶ価格が上がっているようですが、近年のプルーヴェ、ジャンヌレ、ペリアンなどフランスのデザイナー家具の急騰の中においては、まだ手の届く価格帯です。日本での取り扱いも極めて少ないと思います。気になる方、不明点などある方は”問合せ”からご質問ください。2つ仕入れたんですが、すみません。1つは自宅用に持ち帰りました。

 

 

 

21.1.30- Sat

Wall Mounted Miller
1950s-60s
Raffia
W240 H410 D65
90.000 yen ( in tax 99.000 yen )
Audoux Minet