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Tassel Saddle Loafer

 

 

まずこの靴のリリースにあたって。昨春、翌年の夏に履きたい靴を作ろうと企画は始まりました。明るい色を着ることが多くなったこと、ドレス“崩し”的な着こなしが増えたことで、“黒”ではないローファー、スリッポンタイプの靴とイメージは絞られていくのですが、どうせなら世の中に無い(限りなく少数であろう)デザインで、ごく当たり前にあったかような佇まいにならないかと。何かに強く振れすぎてしまうと飽きてしまうし、手入れを楽しみながら長く履ける靴を模索しました。ある程度の時間を費やしてようやく答えが出ました。ペニーとタッセルというローファーの王道をドッキングしてはどうか。サドルからにょきにょきとタッセルが出てくるイメージをユカさんに伝えて「もちろん初めて作るけど、やってみましょう」と二つ返事。少し経って、スケッチが送られてきました。

 

 

 

 

 

Bravo。混ぜこぜなのに、違和感のない昔から普通にありそうな顔。タッセルのもつアダルト感ありながら、こ綺麗でちょっとセクシーなイタリアのおじさんが浮かびます。日本人が好きな仏や米の王道ローファーが持つ学生っぽさとは、今回イメージを離したいと考えてました。メンズにしては甲が限りなく浅く、肌の露出もあるので少し色っぽさが出ます。イタリアンクラシコは甲が深いのですが、この靴のバランス感は女性デザイナーならではだと思います。次は革です。元々カーフの選択肢はなく、エキゾチックだとこのデザインにはアクが強くなるので、イタリアンコードバンに絞りました。色はあのウィスキーよりじとっと熟成された感じのブランデーが理想。レユッカスのコードバンってここ日本では特に出回りが少ないです。日本人にはコードバンと言えばやっぱりあの価格帯が先入観としてあるから、その価格差にバイヤーが躊躇するんだと思うんです。だったら同じくらいの価格で出来るエクゾチックの方がわかりやすい。自分もこれまではそうでした。結局この件について直球質問したんですが「マシンメイドとハンドの靴を横に並べて、価格がどうとか語ること自体がおかしい」とちょっと怒られました。確かにそうですよね。カーフのエントリープライスもそもそも大きく違うし、ここんちのイタリアンコードバンは少し数がまとまればオリジナルカラーで染めることもできます。聖地トスカーナのコードバン専業タンナーであり、イタリアのビスポーク靴の常連でもあります。ここで手作業で丁寧に植物タンニンで鞣された革を、ブランデーカラーに染めてもらいました。ご存知、コードバンとは馬尻の左右の革の内部にあるコードバン層まで削り磨き上げた革であり、ヌバックをより細かく潰して表面をならしたようなイメージです。軟骨もありますし銀面と比べると色が入りにくく、さらに明るいカラーは革自身の個体差にも影響されてどうしても色ぶれが出ます。コードバン層に元々見られる黒ずみがあったり、パーツによって色差が出たり、そもそも色抜けもしやすい。Dress Westernのように安定感あるクロムのカーフなどとは別物なので、その点は予めご了承ください。そこが薄茶コードバン靴の面白さを感じる部分でもあり、これを磨いて得られるガラスのような光沢と色の強弱をニヤニヤしながら眺めるのが楽しいんです。

 

 

 

 

 

 

そして木型と構造の話。木型は色っぽいローファーでお馴染みのYEBラスト。そのジャパンフィッティング、通称YEB2ラスト。YEBのエレガンスは継承しつつ、踵の細い日本人のためにアレンジされた木型です。ローファーはシューレースが無いので、サイズ選びと構造で支えるしかありません。ソールが柔らかいスニーカーばかり履く日本人の足は重力に逆らえず、変形して土踏まずが落ちてだらっとしている人が多いそうです。落ちた踏まずでは履き口がわらってしまいます。これを矯正するために“踏まず矯正カウンター”を入れてもらいました。なかなか説明するのが難しいんですが、一般的な革靴はヒール部分にカウンターが入りますが、このローファーは内側の踏まず付近までのロングカウンターを入れています。これによって踏まずが持ち上がって、日本人に起こりやすい”わらい”を矯正します。カッコ悪い履き口の開きですね。ビスポークでないと完璧には出来ないですし医学的なことに繋がるので強くは言えないですが、履き続けることで結果的に踏まずが上がってきて健康な足にも繋がるでしょう。この踏まずを持ち上げる心地よいフィッティングも期待してください。そして製法はレユッカスの中でも最もドレッシーな本底のグッドイヤー。正確に言うとエレガンスを狙うためにフロント部の設置面だけコバ有りのグッド、踏まずから踵へかけては本底の厚みを最小限にしてコバ抜きで攻めています。ここだけ本底とアッパーをマッケイで縫って閉じているということです。マニアックですね。

 

 

 

 

サイズの選び方としてはジャストを推奨します。もちろん緩いのは論外ですが、タイトフィッティングから伸ばしていくのも足に良くないですし、ジャストから履いてもらって底がキマり革が伸びて仮に緩くなるようであれば中敷きを足して調整するのをお勧めします。前回のポストと繰り返しになりますがKARENAと同じフィッティングを狙って設計されています。木型としてはKARENAより細いですし、足形状も人それぞれですので一概には言えないですが、あくまで目安ですがKARENAがぴったりであれば同じサイズです。それでも最初はKARENAよりキツく感じるはずです。KARENAで結構な緩さがあるのでしなら、ハーフサイズ下も検討余地ありです。今週金土でフィッティングができない方はメールでやり取りしてサイズを特定していきましょう。着こなしとしては、自分なら真夏は素足です。見えないソックスも履きません。それ以外の3シーズンは白ソックスか、今年はパステルのソックスをちらつかせたいですね。基本はドレストラウザーに。適度にトラッドを崩してくれるはずです。太いデニムに合わせてもタッセルに有りがちな野暮さが無いと思います。今週金土の柿乃葉営業は通常でどなたでも入店可能ですが、時間が無い方もいらっしゃるのでアポイントをもらえれば優先したいと思います。アポのご予約方法は、①氏名 ② 住所 ③携帯電話 ④曜日と下記の第3希望までの時間 を明記の上、問合せページよりメールをお願いします。追ってお時間の確定のご返信をさせていただきます。またメールオーダーの方は、明日には商品帖を更新しますのでそこからオーダー可能です。型崩れ防ぎ長く履くのならYEB2のシューツリーもセットで同サイズオーダーが鉄板です。素材はブナの無垢材です。1/31(月)の17時目処で締め切ります。一番履きたい頃にお届け出来ると思います。

Appointment _ 12:00- /12:40- /13:20- /14:00- /14:40- /15:20- /16:00-
問合せ info@kakinoha-kamakura.com

 

 

 

 

 

Order Event
1.28 Fri -1.29 Sat ( Cut Off Date / -1.31 Mon )

Tassel Saddle Loafer
Yeb2 Last / Goodyear Welted
Italian Cordovan
Brandy
Size _ 38 – 44
Delivery Date / June – July
236.500 tax in ( 215.000 )
Le Yucca’s for kakinoha

Yeb2 Shoe Tree
Beech
Size _ 38 – 44
Delivery Date / June – July
23.100 tax in ( 21.000 )
Le Yucca’s