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Wool Mohair Mesh

 

暖かくなってきてから着れる、美しいジャケットとスラックスが欲しいなと。両方揃えるとスーツにもなる。そのお題に一番相応しい作り手は松村さんでしょう。このくらいの年齢になるとお祝い事、入学式など子供関係の何ちゃらがぽつぽつ控えていて、スーツ的なものを求められる場面が増える。そこでビジネススーツなんて着てられない。しっかりカッコつけて胸張って、記念写真に笑顔で収まりたい。とは言え、スーツとして揃えたらベストではありますが、タイドアップしたハレの日的な使い方はほんの僅かでしょうし、反対に普段着としてスーツをこう着崩したいとか、メインになりそうなスラックス単品、ジャケット単品で完結できるようなものを考えて作りました。色は久々に着たい欲が増している紺無地。でも、ここで僕がやりたいのは“普通のようで普通でない”もの。春夏ものの紺無地っていうのがなかなか難しかった。色の出方だけでなく、素材感、軽さ、品の良さ、そして大事な違和感。ヨーロッパの生地とか色々用意してもらったんですが、その全てを装備したうるさい生地がなかなか無いんです。松村さんからも「良い生地だけど、柿本さんの求めるものだと、正直なんか違いますよね」と。「誰もが知っているような英国のハイクラス生地とも勝負できる、すごいハタヤが日本にあるんですよ。天皇陛下から賞状が出ていたり。当然高いんですけど、そこで生地から織りましょうか」と松村さん。はい、喜んで。素敵な提案。

 

 

 

 

 

 

ジャケットは冬はもちろん、夏も着ない設定で総裏にする。その方が構造的にもジャケットとしてしゃんとするし、夏を捨てることで春と夏に万全に着れます。そしてトラウザーは3月から9月くらいまで真夏までぶっ通しで履けるもの。ドレトラ然り、夏の綺麗なスラックスという立ち位置は僕には絶対に必要。汚いおじさんになりたくない。当然ジャケットよりトラウザー単体の出番が高くなるはずですから、ベタベタな夏を考えて「モヘア、モヘア」と連呼しました。今回の糸は梳毛ウールにキッドモヘアを配合したもので、それをさらにメッシュ組織にしています。キッドモヘアのしゃり感と、梳毛ウールのしなやかさ。 当然、涼しく軽いです。目面が立った特徴的な織りで、風がびゅんびゅん抜けていくカジュアルさと、品の良さの共存。松村さんと仕事をすると本当に心強いし、的を得ています。1番難しい紺無地。“普通のようで普通でない”という、難儀なお題をクリア出来たと思っています。上下共にMAATEE&SONSの既存品にイメージ通りのパターンのものがあったので活かしています。今回、British Tailoredと名付けたこのジャケットは、パットと裄綿を備えた(英国感ある)構築的な肩でありながら、肩傾斜を強くしていて袖は前に振られます。肩線を後ろに逃して前身が細く、背中側に運動量を持たせたパターンメイキングでジャストフィッティングながら動きやすいんですよね。あとはボタンを中心線からわざとズラして、前合わせを深く美しく開くようにしていて、この内側に何を着るのか、スタイリングも個性を出していけますね。グリカンやハンドによる袖裏付け、襟裏カラークロス、フラワーホールの下の茎留めなど、もう海底に沈んでしまったディテールを引っ張り上げた、スーチングに精通した松村さんらしい本格的な紳士服のクラシックスタイルです。

 

 

 

  

 

 

 

そして、トラウザーはドレトラ愛好家の皆さんに履いてもらいたい。ドレトラは2タックのインタックですが、これは1タックのアウトです。ジャケットの組下となるという視点で言えば、太めの部類に入るスラックスですがドレトラよりはスッキリでストレートベースの気持ちテーパー。僕はテーパーきつめのボトムスは好きじゃないんですが、これはすごく綺麗ですよ。奇をてらうようなシルエットでなく、誰もが自然に馴染むという感じ。久々に履きたいと思えるスラックスに出会いました。外見はそんな感じですが、内側はゴリゴリのギャップです。松村さんの好きなパンチエリーナ仕様。腹巻きを意味するもので、腰回りのフィット感を高める、ぼちゃった人の腹下にパンツがずれ落ちるのを防いだりという役割があるんだそう。ジャケット同様に、今見ることのない、ザ・クラシックなディテール自体が萌えます、燃えます。マーベルト近辺、裏側の要所要所にハンドを入れながら仕立てられた本格的なトラウザースです。こういったものを、先述のTPOによってはシャツ着て革靴履いて髪の毛ツヤツヤにして臨めば良いと思うんです。でも今回の狙いは、これをどう着崩すかにあります。スーツとして着崩すなら古着、あと小物ですよね。ジャケット単体なら普通にデニムが最有力でしょう。リジッドじゃないやつ、古びたデニム。生成りのUSもののペインターとか、ユーロものの色が薄くなったワークパンツとかも良いですね。トラウザーは自由すぎて、何でも出来ますね。アウト良し、イン良しで、春、夏、秋とコーディネート無限です。生地の痩せ切った古いスウェットとか、バサっと柄シャツ羽織っても良いし、シャツがどうしても着れない真夏の猛暑日ならチャンピオンのカレッジ系とか、リンガーとかお気に入りの古teeをインして、可愛いベルトして合わせたいですね。アルチザンなレザーサンダルか、げんべい。参考までにジャケットは内側に何着るかによっても変わりますが、僕だと3の方がベストでしょうか。トラウザーは2です。MAATEEのトラウザーは基本フラシですが、ドレトラベースの丈設定でシングル仕上げにしてます。ジャストならラッキーで、ここから伸ばしたり、短くしたり出来ます。ネイビーの写真が本当に難しくて、スタイリング写真は黒っぽく潰れてます。本当は紺色です、すみません。直前となりましたが、金土と営業します。在庫がありましたら日曜正午に商品帖に更新します。

 

 

 

 

 

 

23.3.3- Fri

Ex British Tailored Jacket
Wool Mohair Mesh – Wool73 Mohair27
Navy
2 / 3
132.000 tax in ( 120.000 )

Ex Set Up Trouser 2
Wool Mohair Mesh – Wool73 Mohair27
Navy
1 / 2 / 3
49.500 tax in ( 45.000 )
MAATEE&SONS