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Hand Mocca Double Monk

 

次は何を履きたいか。なかなかシューレース靴の気分にいかない中、フツフツと気になる存在になったのがバックルシューズ。ダブルモンクです。でも履きたいと思えるものはない。そういえばLe Yucca’sにあったけかなと思い、ユカさんに尋ねてみたところ「日本人の好きなダブルモンクは他社にいっぱいあると思うの。隣りのイギリスにも象徴的なものがあるじゃない。変化球のブーツタイプは過去に作ったけど、短靴のダブルモンクは作ってないの」と一蹴。続けて「モンクが気になるなら、シングルモンクのレディス木型があるから、それをメンズ木型に置き換えるのはどう?」と。“ロブのウィリアム”は素晴らしい靴だと思います。ただ僕にとってはスーツスタイルに直結するものであって、普段のスタイリングにはなかなかイメージできない。そしてシングルモンクとダブルモンクは兄弟のようだが、全くの別ものである。ありがたいご提案を縦に首を振ることなく「ユカさんのデザインするダブルモンクが見てみたい」と言い続けていると、「ダブルモンクは2つ有るストラップの引っ張り角度で羽が笑ってしまうから、型紙制作も数回のプロトが必要なの。時間はかかるかもだけどまずは描いてみて、私なりのダブルモンクのクリエイトに少し集中する」との嬉しすぎる言葉。何かアイデアが浮かんだのか、根負けしたのか。そこから1ヶ月経ち、思ったより随分と早く、僕の好きなYeb2に描いたスケッチが届きました。

 

 

 

 

素晴らしい。何なんでしょう、この見たことないバランスは。まずは2本のストラップ間が三角形のような形状をしていて、湾曲しながら90度近くまで開いている。この美しい曲線が生き生きとした躍動感を感じさせる部分でもあります。そして履き口の浅さがすごい。これは同ラストのコードバンローファーでもそうだったように、全長の半分くらい開いている。通常は全長の1/3から2/5くらいが履き口の広さだと思うんです。ダブルモンクでこれをやってくるとは思わなかったんですが、女性にしかない着眼点であり、これがユカさんのバランスなんですよね。そして、また1週間後に連絡がきたかと思うと「ハンドモカを付けてみようと思うの」と。そもそもダブルモンクと言えば、基本スタイルはストレートチップ。最初の案はプレーントゥでしたが、ここにボナフェが得意とするハンドモカをミックスするという。こういう足し引きでミックスしていく感覚、僕も何かアイデアを考える時に常に意識はしますが、やはりこの方は生粋のデザイナーです。この時点で唯一無二のダブルモンクになろうことは想像できました。そして型紙に移り、ここから革の選定は僕の仕事です。

 

 

 

 

 

 

考えていると、ユカさんからは「前回のイタリアンコードバンか、短い毛足のスエードが良いんじゃない」と。間違いなく合うのはイメージ出来るが、合いすぎやしないだろうか。モカが加わって中和されたとて、シャープなYeb2のダブルモンクにスムースやスーパーバックだと、エレガント一直線にならないか。今回ユカさんが作り上げたこの靴を、スラックスやデニムに合わせてさらっと履くには、カジュアル感のあるシボ革が良いんじゃないかと。いくつかのタンナーのシボ革を触りながら1番しっくりきたのが、フィヨルドカーフでした。例えばキャビアだともっとクラシック感は出せる。ただ、綺麗な曲線を生かすならもっと自然なシボで柔らかさのある革の方が良いだろうと考えました。この革は10年以上前の良質なストックで、かつてはHなどのメゾンもバッグ用等で使っていたそう。手法としては最初にシュリンクしてから更に軽くエンボスをかけており、表情もナチュラルで革自体の柔らかさもあります。木型への吊り込みの際にトゥやヒールといった圧が強めにかかる箇所は、引っ張られてスムースに近いような表面感になったりと、この革だからでこその、まるでハイシャインをしているかのような立体感があります。そして色はやや濃度のあるブラウンをチョイスしました。写真黒く写っていてすみません。イタリのエスプレッソと言いますか、コーヒーのような色だなということでCafféと命名。明るいブラウンは引き続き大好きですが、ここに来てダークトーンものへも気分は広がっています。何も考えることもなく合わせやすい色でもありますが、近年はPOPな色やチェック、柄ものの服ばかり買っているのもあって、全体を引き締めるような効果も狙っています。

 

 

 

 

 

 

最大のデザインポイントはバックルの色を分けたことでしょうか。これは元々、ユカさんがサンプルで作ったダブルモンクに、洒落でトゥ側にゴールド、手前にシルバーのバックルをつけていたのがきっかけです。シルバーとゴールドのコンビ、好きなんですよね。このユカさんの洒落を反転しました。短め丈やテーパードのパンツだと両方見えるでしょうが、僕の場合は(ドレトラとかもそうですが)裾幅の広いボトムスが多いので、シルバーのバックルのみ見える状態がデフォルト。足を組んだりすると隠れていたゴールドのバックルが見えてきます。小物はその人の個性。普通な物の方が飽きると持ってて、少しは癖や遊びが無いとつまらないですよね。以上、長くはなりましたが、可愛い第3作目が誕生しました。と言っても納品は半年後で、10月から11月にかけてお届けできる見込みです。サイズに関してですが、38から44までハーフサイズピッチで受注可能ですので、日本人男性のほとんどはカバーできると思います。Le Yucca’s所有者に限っての話をすると、ユカさんはラストが変わっても基本同サイズの設計とおっしゃいますが、足幅が細い方は定番のKARENAと同サイズで良いですし、広めの方は余裕を持ってハーフ上げても良いと思います。2作目のローファーがちょうど良い方は同サイズ、苦戦した方はハーフあげてみる。僕も今回はKARENAよりハーフ上げたものをオーダーしてみまして、馴染んで緩くなったとすればインソールで調整しようと思っています。ビスポークしない限り、デザインされた木型にどんぴしゃで合う方の方が少ないはず、それが既成靴です。とは言え、ストラップは3段階でサイズ調整ができますので、甲高の方や幅広の方も、Yeb2のコードバンローファーよりかはいくらか履きやすいです。型崩れさせずに永く履くには、同木型のシューツリーを合わせるのが賢明かと思います。同サイズでオーダーください。また、シュークリームはBrift Hの長谷川さんと絶賛打ち合わせ中です。今回は厳しい為替の中、可能な限りで上代を下げることに徹しましたので、別注クリームが叶っても販売になるかと思います。また、進捗あれば更新します。今回の受注品の購入方法は、昨日アップした手記に記載しておりますので、こちらからご覧ください。どうしてもご都合が合わない方や、不明点がありましたらお気軽にお問い合わせを。遠方の方、初めましての方にもお会いできる機会になればと思っており、とても楽しみにしています。

 

 

 

 

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23.4.21 Fri- ( Cut Off Date – 4.29 Sat )

Order Event / Ex Hand Mocca Double Monk
4.21 Fri / 4.22 Sat / 4.25 Tue / 4.28 Fri / 4.29 Sat

Ex Hand Mocca Double Monk
Last / Yeb2
Process / Goodyear Welted
Material / Fjord Calf
Color / Caffé
Size / 38-44
Delivery Date / October – November 2023
184.800 tax in ( 168.000 )

Yeb2 Shoe Tree
Material / Beech
Size / 38-44
Delivery Date / October – November 2023
23.100 tax in ( 21.000 )
Le Yucca’s