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受注会 Harvest Chain Necklace Type1 & Type2

 

他には無いチェーンネックレスが欲しい。チャームは無し、シンプルだけど強さのあるもの。ずっとその感覚は持ってましたが、世の中にあるネックレスはどれも似たようなものばかりで、感動するようなものは無い。と言っても僕は無理に探すという行為をあまりしないので、ナチュラルに刺さるものに出会すのを待っていただけなのですが、ついに出会いましたよ。革職人の元に産まれた本池さんは、家業を発展させる形でブランドをスタートとし(服が好きな方であれば誰もが聞いたことある革ブランドにまで)成長させ、次男、三男に任せる形で45歳で独立します。そのブランドをスタートする前の話にはなりますが、20歳の時にフィレンツェに渡り、Duomoの真裏で彫金の修行に入ったそうです。本池さんの師匠にあたる方が、伝統的な打ち出しの金属皿からモダンジュエリーまでを手がける職人で、そこで学んだ技術を独自に応用しながら創り出すのがtaupe D.Motoikeです。このtaupeはフランス語でモグラですが、同僚がティーブレイクをしに外に出ても、作業場から出てこない本池さんを見て「モグラのようなやつだな」と言ったジョークがきっかけなんだとか。都内のアトリエに伺った時も「もう自分が好きなことだけやっていく」と言う言葉通りで、作業場にこもって創るという行為が本当に楽しいとおっしゃっていました。彼はジュエリーデザイナーではありますが、浮かんだアイデアをドローイングすることから始まり、最終的に自らの手のみで成形していきます。またMotoike Daisukeとして作家活動も行っており、漆と革を用いたアート作品などもリリースしていて、そちらも心動かせれるものがありました。アーティストであり、デザイナーであり、職人です。僕も大好きなShohei Otaniを凌ぐ、三刀流です。

 

 

 

 

僕が彼の作品を手に取って、その表面感や佇まいに痺れたのがHarvestと冠したチェーンでした。Harvestはその名の通り稲穂をイメージしており、ゆらゆらと揺れ光が分散するような凸凹のある表面感が特徴です。彼がメインで使用するのがSV999の純銀。最もメジャーであるSV925は合金でありジュエリーに適した硬さがありますが、999は当然柔らかいですよね。Harvestはこの柔らかいピュアな素材を金槌ちで叩きながら、ジュエリーに適した硬さにまでもっていきます。所謂これが鍛金であり、フィレンツェで習得した技術を応用しています。日本では江戸時代の刀、今日では鉄作家、金工作家などが用いる技巧の一つです。叩かれた純銀の表面感をそのまま残す形で出来るのがHarvestであり、今回は55cmの長さで作ってもらっているのですがコマの数は60個強にも及びます。この全てを叩いて曲げて結合してを繰り返しチェーンにしていくことを考えると恐ろしいことです。そしてこのコマのひとつづつの大きさもあえて不均等でバラバラにしていて、この人の手を感じる部分が大好きな要素でもあります。

 

 

 

 

 

 

今作ではまず、ブランド名から取ったTとDの留め具部分をK24にアップデートしてもらっています。末恐ろしい価格で取引きされるピュアゴールド、純金です。これはtaupe D.Motoikeでも初めての試みであり、結局ここが純金に変わるということは、この位置をどこにもっていくかでニュアンスが作れるようになるんです。チャームはいらない。でも、時にはチャームのような役割も担ってくれるという。さらに、純銀のチェーンの中に金がちらちら見えると思いますが、これ、金のコマがついてるわけじゃないんですよ。これは1つのコマの半分が純銀であり、半分から純金へと変化しているのです。写真でわかりますか?グラデーションと呼ばれる技法で、純銀と純金の融点を合わせて結合していくそう。これは僕も初めて見たのですが、驚きました。このグラデーション具合が言われないと気づかないくらいさりげなくて、光の角度でちらちら、キラキラと輝くのがロマンチック過ぎます。

 

 

 

 

 

そして、もう1パターン作りました。この純金の留め具はそのままに、両サイドのコマをグラデーションさせ、それ以外は全て純銀です。これはもっとソリッドな印象になるかと思います。モデル名としては、本池さんのバランスでグラデーションパーツを13、14個ほど配されるのがType1。グラデーションが留め具の両サイドに1つずつ付く方がType2となります。今回のエクスクルーシブの制作時間を尋ねたところ、Type1を1つ作るのに28時間、Typeは14時間ほどかかったということでした。彼は本当にモグラなのかもしれません。非効率すぎるが故に得られる、手の跡の存在感があります。

 

 

 

 

一足先に自分用としてType1をオーダーしましたが、これは本当に気に入りました。チェーンを55cmでお願いした理由の1つとして、3重のブレスレットとしても応用できるようにしました。僕の腕が17cmくらい。リストが太めの方でブレスレット使いがマストという方は、チェーンの長さを3cm単位で長くも短くもオーダー可能です。長くする場合、少しアップチャージにはなりますが。ネックレスとしてシンプルではあるのに、まさに唯一無二で、味気ないスタイリングの時でも印象を変えてくれます。風呂もつけたまま、子供と遊ぶ時も引っ張られはしますが、鍛金しているので強度の面でも問題無さそうですし、あとは温泉の硫黄成分でも酸化しずらいようです。一般的なK18、SV925と違って不純物が無いので金属アレルギーの方にも安心ですし、経年変化も劇的なものではなく、素材本来の色と質感を楽しめます。純金、純銀は柔らかいので再成形にも向いており、万が一、切れた、変形してしまった場合は1ヶ月弱でお直し可能です。先月受注会を行ったBLOWの時もそうでしたが、金と銀のコンビにするということは、時計の金属部分の色、ベルトのバックルなどにも左右されないということで、365日常に身につけ続けられるポテンシャルがあります。今回は受注会となりますので、その場でのお渡しできませんが8月末から9月末にかけて早めに納品していただく予定です。1日で1つも出来ませんので、オーダー先着順の時間差でお渡ししていく形となりそうです。また、基本は前金での受注となりますが、現金の方のみ10万円を預かり金とし、残金をお渡し時に現金でいただくという方法も可能です。商品帖からですとこれが選べませんので、10万円の預かり金をご希望の方は問合せよりお気軽にお申し付けください。銀行振込でのみ対応可能となります。納品時はtaupeカラーに染色した桐箱がつきます。夏のネックレスも良いですが、秋のシャツ2つ開けの隙間から、そして冬のニットの上から見せるのも楽しみです。金土は店頭、日曜の正午から12時間のみ商品帖で受注を承ります。宜しくお願いいたします。

 

 

 

 

 

23.7.14 Fri – 7.15 Sat 12:00 – 17:00
商品帖 7.16 Sun 12:00 – 24:00

Order Event
Ex Harvest Chain Necklace Type1 & Type2

K24 ( Pure Gold ) / SV999 ( Pure Silver )
55cm
Type1 / 352.000 tax in ( 320.000 )
Type2 / 242.000 tax in ( 220.000 )
Delivery Date / Late August – September
taupe D.Motoike