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BLACKBIRDとの処女作

大宮 WHITE ALBUM.から生まれたのがこのBLACKBIRD。「着たいと思うものが無いから」との理由で辿り着いた赤羽さんの完全なる趣味の追求。これまで自店での販売を主に続けてきていたのですが、ひょんなことから、Wholesaleするに至ったんだそう。僕はブランドのことも全く知らないまま展示会に出向いたわけですが、SALESを担当するT橋くんは本物の服好きでその仕事ぶりも信頼していて、彼の紹介なら面白いものが出てくるかもと。そんな小さな期待からでしたが、空間に入るなり、瞬間的にこれが柿乃葉に入ったら面白いことになるなと感じたんです。ドレス的なものとも意外に相性良さそうだなと。僕が通ったことのない異なる趣味嗜好と角度からの物作りであることも良く理解していながら、その中の数型はどかーんと胸を突き刺してきました。これは理解できない、でもこれは好き。これはensou.の展示会に初めて行った時も感じたことでした。僕が着こなしを考える時に求めている、スタイリングの“アク”とか“違和感”と行った崩しの要素が、このブランドには基本装備されていますし、僕は手の熱を感じるものが好きなので、クリエイティブの塊のようなBLACKBIRDの服の一部はしっかり重なっているのです。今回2つの処女作をリリースします。まずはシャツ。

 

 

 

 

 

 

1960年代のアメリカのB社のシャツをベースに、色々アップデートしたらここに行き着いたそう。1番のポイントはカフス。ニュージーランドのマオリ族の古い資料から引っ張ってきた刺繍が入るのですが、このカフスの作りがちょっと普通じゃないんですよ。テーラードJKTなんかの胸増や肩に使われるバス芯が挟んでありまして、カフスの先端はチョップされているので、その断面に白のバス芯が見えます。カフスだけ少し硬くて形状も安定するわけですが、カフス先のボタンも排除してしまっていることで、袖がフレアのように気持ち広がって見えます。これが、すごく愛らしいんですよ。裄丈も長めに設定されていて、ジャケットの内側に着ると袖口からしっかりマオリの刺繍が見えてきます。このスタイリングがしたくて、このシャツで別注させてもらったんですが、僕の場合はベースが柄物だと尚良くて。インラインにもストライプがあったのですがそれにはマオリの刺繍は無く、今作は柄の上にも刺繍が乗っかってボケ味があるような、そんな他には無い飛び道具的なシャツにしたかった。赤羽さんに色々揃えてもらって選んだ生地はまずブルーの不規則なストライプ。フランスのアンティークリネンを想起する柄でもあります。重ねても良いですが、いつものデニムやスラックスにシンプルに着るだけでもかなり鮮度があるはずです。そしてもう1色はベージュのチェックです。ベージュ、カーキ、濃紺、赤茶によって構成されていて、柄の出方が優しいので遠目からは無地見え、近くからは英国の香りがしますね。ブルーストライプと全く違う路線ではありますが、この渋みのある感じもやっぱり好きですね。どちらも生地は国産の旧式織機で低速で織られたもの。表面は凸凹感があり、強撚のドライタッチでざらついていて心地良いです。あとは前立て裏や、裾裏に白パイピングでコババインダーステッチがあるのですが、特にベージュチェックの方だと結構ここの白が効いてきます。この仕様が出来る縫製さんは限られています。ボタンもこの大きさで、実はホーンなんですよね。細部まで、どこまでもが本気です。寸法は0で肩幅47、身幅58、着丈80.5、袖丈64.5。1で肩幅48、身幅60、着丈82、袖丈66です。この表記だけ見るとやや大きいように感じるのですが、肩周りがコンパクトに見えるパターン設計なのでさほど大きさは感じません。僕で1を着ています。

 

 

 

 

 

そして、気は早いですがムートンです。重ねるムートン。どう着るか、ワクワクしました。このムートンベストは2018年頃に最初のデザインが決まって、3度目のマイナーチェンジだそう。これまでは内側に着ることを主に捉えていたのを、身幅をキープしながら着丈を出すことで、外側にも着易いバランスに整えています。ジャストサイズのテーラードの上に着ると、お堅いドレス感を瞬時に崩してくれます。もしくはお気に入りのブルゾンやトレンチコートの下に入れてやると、大きなムートンの襟が外まで露出してきて全く別物のアウターに変身させてくれるのです。そして保温性も申し分の無い。こんな力のある服、無いですよね。ほぼ完璧でしたが、より自分好みにするべく、ボタンを少しだけイジりました。まず、ワピチの角を削ってボタンを作ります。アメリカアカシカ。出来たワピチのボタンを型にして、ピューターを流し込みます。インラインのボタンはピューターそのものなので黒なのですが、もう少しソフトな印象にするべく、上から真っ白にハンドペイントをしてもらいました。ワピチの本物の角のように白の奥に黒があります。サイズは1のみ。肩幅45、身幅55、着丈71です。工場メイドでなく、BLACKBIRDチームのパタンナーが手作りするそうで、裁断も革の形状に合わせる部分もあり、サイズにも多少の個体差があります。極論、自分の背丈や感性に合わせて、襟やら丈やら、裁ち鋏で切ってしまうことも可能です。このヨーロッパ産のシープは、ラグジュアリーブランドと出所が同じ、最高級のムートンです。金土に柿乃葉で発売します。在庫がありましたら、日曜正午に商品帖にアップします。

 

 

 

 

 

 

23.8.18 Fri –
柿乃葉 / 12:00 – 17:00

Ex Regular Collar Shirt
Cotton
Blue Stripe / Beige Check
0 / 1
49.500 tax in ( 45.000 )

Ex Sleeveless Mouton Jacket
Sheep Skin / Pewter
Tabacco
1
272.800 tax in ( 248.000 )
BLACKBIRD