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Frame France

 

ここ数年はメガネ無しでは仕事のスイッチが入らなくなった。常にかけているのに、どちらの店にも置いていない不思議。自分も所有してて、いらっしゃった方にも胸張って提案できるようなものじゃないと店には置きたくない。長く頭の片隅では刺さるものを探してはいて、なんとなく良さげなブランドも買うまでは至らなく、今年に入って3つ立て続けに新調したのは、全てビンテージのフレンチフレーム。やはり、このゾーンが身銭を切って所有したくなるものであって、身につけていて最も心が躍るものということは、自らの購入体験が明らかにしている。それならと、久々にフレンチフレームを展開することにした。知らない方が多いだろうが、柿乃葉のスタート時にもクラウンパントのみ展開していた。当時の手記はこちら。3年9ヶ月ぶりとあって僕自身のメガネに対する感覚もアップデートされていて、前回のフレンチの王道スタイルと共に、今回は前衛的でファッション性に富んだスタイルも提案する。僕の感覚としては今、後者の方が強くなっている。フレンチビンテージにはAvant-Gardeと呼ばれる属性のフレームデザインがある。他国と異なりフランスらしいクラシックスタイルとして、レンズ形状の玉型と、フレームの外枠を全く別物としてデザインすることが挙げられる。クラウンパントもそうだ。それをより大胆に表現しているのが、Avant-Gardeの特徴であるだろう。機能的なメガネだけを創作しようとすると、このデザインには辿り着かない。70、80年も前にフランス人はメガネをファッションとして捉えて作っていたということになる。そして当時のその想いやスタイルが今、Deadとして素晴らしい状態で手に入ることに浪漫を覚えてしまう。

 

 

The Rock “Avant-Garde” 50s
Dead Stock
Vintage Celluloid
Crystal / Honey Havana
Ask

 

Avant-Gardeにはいくつか名称のついた型があるが、これは”The Rock”の50s。ぼってりとした大ぶりのフレームに、上部の斜めに下がるカッティング、特徴的なブリッジ。全く買う予定はなかったが、クリスタルをかけた途端、衝動買いしてしまったのは数ヶ月前。”The Rock”はどう見ても個性的だが、Avant-Gardeの中では意外にもかけやすいフレームだと思う。さらに、透けがあることも顔馴染みを良くするひとつだ。フレンチの世界ではクリアをクリスタルと呼ぶ。クリスタルのセルロイドフレームということだ。それだけでもう手に入れないといけない衝動になってしまい、夏を前に今、最も着用頻度の高いメガネである。今回は同じモデルを仕入れることができた。そして、セルロイドの濡れたようなタルっタルの質感が際立っているHoney Havanaは、“出会えば買え”のレアカラー。カラーレンズを入れても綺麗だと思う。

 

 

 

Wellington “Avant-Garde” 50s
Dead Stock
Vintage Celluloid
Crystal / Olive
Ask

 

これも同じくAvant-Gardeよりウエリントンフレーム。適度に個性はありつつも線の太さはそこまでなく、さらにかけやすいAvant-Gardeの入門編とも言えようウエリントン。天地が広め、何よりこの天才的なフレームカッティング。これも同じくCrystal、そしてクリアのOliveを仕入れた。色物はかけると沈んでくれて顔に馴染む。文句のない素晴らしいデザイン。価格も少しは買いやすい。

 

 

 

Crown Panto No Metal Core 40s
Dead Stock
Vintage Celluloid
Rose
Ask

 

 

もうトレンドとは言えない、10年前は知らない人も多かっただろう。日本人にも完全に定着した感のあるクラウンパント。フレンチと言えばクラウンパント、クラウンパントと言えばフレンチである。その40sの芯無しモデルであり、クリアなのでテンプルは分かりやすく透き通っている。芯無しはスーパービンテージの象徴であり、圧倒的に玉数が少なく、Deadの人気型となるとかなりの価格になってきている。Roseと呼ばれるこのカラーは所謂ピンクだが、フレンチビンテージらしい色であり、日本人の肌にも良く合う。さらにこの個体はフロントのみややベージュがかっていて、テンプルにかけて柔らかな2トーンになっている。セルロイドは綿花やクスノキなど天然の材料を含んだ最古のプラスチックであり、当時、精製する上でこういった薄いカラーは特に色ブレがあったようだ。フロントとテンプルを別のタイミングで作ったのだろう。偶然が産んだ美しさ。これも1点もののVintageの醍醐味だと思う。ここまでが柿乃葉のセレクト。価格は変動あるので伏せますが、10万中盤から20万台です。気になる方はお問い合わせください。そして、来週末からはKAKINOHAHANAREに並べる下のモデル。これらも今週末だけは、柿乃葉で一緒に展開しています。

 

 

 

 

HANAREのセレクトも僕自身が全てをフィッティングして「これは欲しい」と思えるもののみ仕入れており、今の気分に合うものを揃えられたんじゃないかと。もちろん全てフレンチフレームのDead Stockで、価格は10万アンダーのものばかり。パントやウエリントンのHoney Tortoise、Roseの50s、ガラスレンズ付きのサングラス、そしてイナたいメタル。50sから60sが中心。メタルのアッパーブリッジは個人的にも買ったが、ダサくてほんと最高です。パリジャンのメタルも欲しい。ビンテージの世界で最も評価されるべきは、デザインとサイズ感。特にサイズに関してはシビアに選定していて、good sizeばかり。やや小ぶりなものはあっても調整可能な範囲で、小さすぎるというものは1点も無いかと。毎日使えるものだから、ベーシックは素晴らしい。でもかけ慣れると癖が欲しくなる。今はダッサい方がファッション的にちょうど良くて、”メガネは変身願望”という聞き慣れたワードが最近しっくりくる。金土と営業し、全て並べます。似合うモデルを見つけてもらいたいし、購入いただいた後のレンズや調整のことなど含めて直接お話したいので、基本的には店頭販売で考えています。商品帖での販売は未定です。

 

 

 

 

24.6.7 Fri – 6.8 Sat / 12:00 – 17:00 @柿乃葉

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Celluloid / Metal
Ask
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