手記 > ゆるっとダブル、かちっとシングル

ゆるっとダブル、かちっとシングル

ensou.のゴーストラペル、NICENESSの36色絣、AMCの90sダブル、BLACKBIRDのレイヤード。ジャケットと言っても色々な切り口で23AWお届けしました。今季ラストのジャケットとなるのがMAATEE&SONSより等半袖のダブル、毛芯のシングル段返りの2型です。どちらも僕の大好きな設計で、先入観無しにして自分に合う方を選んでもらいたくて、2型揃うのを待って納品してもらいました。型は文句のつけようがなくイジっていません。自分好みの素材を探して合わせました。

 

 

 

 

まずはダブル。スコットランドの名門のツイードです。原種はシェットランド。適度な毛羽感をもったややライトウェイトなツイード。織りを気持ち甘くしているから、暖かさだけでなくソフト感も備えている。あとは糸がTOP色なんですよね。これは日本の紡績だとなかなか出せない表情だと思います。グレーベースに、細かな格子はパープル、ブルー、ブラック。ドレスシャツとかもそうですが、英国人の配色センスって抜けてますよね。

 

 

 

 

 

去年も好評だった等半袖のダブル。僕も買えなかった。等半袖のマニアックな話など、こちらの手記を読んでください。去年とパターン変わってないのに、今年羽織ってみると余計にゆったりに感じますね。この1年で僕はさらにジャストに寄ってきたんだと再確認。特にトップスですね。パンツは引き続き太いの履いてます。カーディガンJKT的な設計なので、見返し部分のキャンバス芯くらいでソフトに作ってあります。肩はノーパッド。粋な共地での背裏ですが、この背裏形状はフランスの古いワークジャケットなどに見られる形からの応用とのこと。袖裏はグリーンのストライプ。あえてパープルやブルーといった生地の中にある色を拾わず、狙ったのはチグハグ感。「柿本さんこういうの好きですよね」って。そうなんですよ。袖を折り返した時にしかわからないので、スタイリングによって見せるか見せないか考えれば良いんですよね。パープルやグリーンを差したり、ワントーンでグレーにまとめたり。リラクシーなJKTなので、休みに子供と遊ぶ時にもさっと羽織っていけそうな立ち位置です。で、締る時は今年はジャストなタートルに頼りましょう。MAATEEの梳毛16G最高です。首元がいくらか詰まるだけで温かいし、ジャケットやレザー、シャツ、Gジャンの内側で、ネックレイヤー出来て重宝します。ジャケットにニットで、さらに寒くなったらオーバーベストを。サイズは2で着丈75.5、身幅55、肩幅45.5、袖丈64、3で着丈77、身幅57、肩幅46.5、袖丈65です。元々毛羽が立っているこのツイードは、水を通しても楽しいと思います(自己責任で)。ふわっと生地が膨らむはずです。

 

 

 

 

 

そしてシングルも同じミルのもので、ビスポークの世界においての定番生地です。ツイードの中ではミドルウェイトクラスで、毛羽を抑えていてドライタッチ。織り密度も高めでカリッとします。毛芯を用いたテーラードとこの生地のハリコシが相まって、余計に人の丸みを立体的に包むように構築してくれると思います。英国のツイードは孫の代までと良く言われる言葉ですが、着込んでいくとゆっくりゆっくり毛羽が立って育っていきます。これはベージュグラウンドに2色のオレンジとブルー。糸はTOPです。物の色が上手く出ておらず、グレーっぽく写っている写真がありますが、もっとベージュ寄りです。どちらの生地もブルーが入っていてデニムに合います。

 

 

 

 

MAATEE&SONSのシングルテーラードは今現在、アンコンと今回の毛芯があります。2023AWのアンコンはジャスト設計に寄ってきていて、シェイプの仕方や設計が違うので比較は難しいですが、毛芯の方がややわずかにコンパクト設計でしょうか。大差ありません。いつも言うことですが、松村さんはドレスアイテムが異常に上手い。キャリアのスタートとして売り場に立ってたこともあって、スーチングの着方や基礎的なことをよく理解しているからこそ、定説からどうやってハズすのが粋なのか、各国のテーラードやビンテージ、はたまた往年のデザイナーズなど、豊富な知識からの手札の出し引きが豊富なんですよね。どのジャケットもどう見せたいのか、どう着たいのか、コンセプトがはっきりしているから、外装はシンプルに見えて、実は個性と拘りの集結。その中でも僕が1番好きと言えるのが、このシングル毛芯です。今年の春夏も、これでモヘアのスーツ作りました。毛芯はガチガチの硬いやつではなくて、ソフトだけど反発力があるものを選んでいるそう。袖山の裄綿には、なんと裏毛を起毛させたものを貼り合わせている。肩をカッターで切ると、スウェットの裏起毛がワタの上に貼ってあるとイメージしてください。このテクニックはテーラー界隈でも異例の技術であって、これによって袖のトップに微妙なニュアンスを作り出して、狙っている丸み、柔らかさ、軽さを実現するのです。やっぱり堅苦しくて重いジャケットは誰もが嫌ですよね。そして今回は2Bではなく、3Bの段返りにアップデートされているのですが、トップと2つ目のボタンを少し(ダブル寄りに)離してつけているんです。これによって打ち合いが深くなるので、ボタンを閉めない時のフロントが開き過ぎなくて、美しく粋に見えるんです。これは英国など、昔のテーラードJKTに見られることがあるそう。誰も気付けない、気付かれない部分にこそ、豊富な引き出しから、時間とアイデアを注いで形にしている。こういった信念が宿った、美しく仕立てられたJKTをジャストサイズで、スタイリングで崩して着るのが、今っぽいなと思いませんか。サイズは2で着丈75、身幅51.5、肩幅44.5、袖丈64、3で着丈77、身幅53.5、肩幅45.5、袖丈65です。これは大きく着てはかっこ悪い。自分に合ったサイズで着ましょう。これも前は締めないと思うので、身幅などは参考程度に。着丈が2cm違うので、そこがサイズの選びの決め手かと思います。僕(177、66)は身幅やアームホールは2でも良いんですが、着丈のバランスで3を選んでいます。そしてこのスコットランド生地のベージュの中に走る赤に寄ったオレンジと、薄いオレンジが素晴らしい。8ヶ月前にステキなツイードを選んでいた自分がナイスです。おじさんチェックの中にフレッシュ感もあるし、僕個人としては赤とオレンジばかり買っているので特に抜群です。差し色として、ハズし色として、着るだけで鮮度が出てくる最旬の色だと思います。HANAREの方に、赤やオレンジのニット、シャツなどいくつかセレクトしているので見てみてください。あとは、デニムやシャンブレーなどで崩しましょう。ソックス+サンダルも。そしてこのジャケットにも、冬はオーバーベストを。BLACKBIRDのレイヤードJKTは、切り離しても活躍しますよ。発売日ですが、今週は金曜日に子供のスクール行事があってお休みもらいます。私用ですみません。変わって木曜営業、土曜日は16時に閉店と、今週はイレギュラーですので、お間違いなく。商品帖は在庫が残れば日曜正午です。というわけで、コンセプトと性格が異なるシングルとダブルです。価格の違いをよく聞かれますが、仕様と工程の違いからです。いつも商品帖で選んで下さっている方も、是非ジャケットは試着をおすすめします。

 

 

23.10.26 Thu – / 12:00 – 17:00
23.10.28 Sat – / 12:00 – 16:00
@柿乃葉

Ex British Tweed Double Breasted Jacket
Wool Tweed –  UK ( Scotland )
Sleeve Lining – Cupro
Gray Check
2 / 3
104.500 tax in ( 95.000 )

Ex British Tweed Single Jacket “Three roll Two”
Wool Tweed –  UK ( Scotland )
Lining & Sleeve Lining – Cupro
Beige Check
2 / 3
121.000 tax in ( 110.000 )
MAATEE&SONS