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新ドニカバと作りかけテーラード

 

ドニスカバーオール。うちではドニカバと呼ばれている。ドレトラと混じってドレカバと発するお客様もいた。ドルガバっぽくてちょっとだけ嫌だったが訂正はしなかった。いつの間にか常連の方々にとってドニカバは愛着があるものになっている。とある打ち合わせの中で、西川さんの口からウルトラスエードというワードが飛び出てきた。これまでのensou.というブランドにそのイメージが無かったので少し意外に感じたが、その数分後には「ウルトラでドニカバなんて作れるもんですか?」と提案した。東レが50年も前に開発してから進化させてきたウルトラスエード。言ってみれば、”フェイク”スエードである。原料のポリエステルを特殊技術で驚異的な細さの繊維にし、それらを絡み合わせて生地にし表面を微細に起毛させる。ハリがあり形がキマる、軽さとタフさ、シワになりにくい、蒸れにくい、暑さにも寒さにも対応する、手入れが楽で洗える。ネガティブを挙げるとすると結構高い。とは言え、ウルトラは既に”フェイク”スエードではなく、ウルトラスエードという価値のある素材として地位を築いている。1度手にしてしまうと本革とまた違った魅力が見えてくる。

 

 

 

 

 

レザーを縫うと同じようなことなので、これまでとは内側の構造、ミシンも変えなければいけない。コットンの総裏、芯などの副資材を排除。新しく施裏になり、大見返しにする。西川さんにもトライしてもらったが、アトリエにあるいくつかのミシンではウルトラスエードは縫えなかった。この難儀な課題は手の良い縫製さんに依頼して解決させる。パターンは継続する。そして、打ち合わせから数ヶ月で出来上がってきた新ドニカバ。今まで英国のクラシック生地を使ってきたが、それとは全く別の顔になっている。端正で、醤油でなく塩と言ったらいいのか。ウルトラスエードは経年変化が起こりにくいこともあって、どっちの色も白ステッチで癖づけしている。生地の適度なハリからパンっと筒が出来て、袖を通した時に包まれているようなKeep感。そしてやっぱり軽い。汚れたら洗えば良いし、休日に子供遊びにも楽にカッコつけて着れる。クローゼットから、ついつい手にとってしまうような服でもあると思う。色は2色作った。深めのネイビーは絶対作ろうと思っていた。やっぱりインディゴデニムを主軸にイメージしている。ブルーと白の爽やか鉄板なコントラストも今また気になる存在である。少し明るめのフレンチグレーはここん所のグレーワントーンを意識してのもの。僕(みんなの?)の定番であるグレースラックスが主軸。強色、パステル、柄も何でも受け入れる澄み切ったグレー。

 

 

 

 

 

販売方法は受注制となり、少し先ですがお届け予定は7月から8月。秋冬に向けて一足早くお作りします。金土の2日間は店頭、商品帖は日曜の正午から23時まで承ります。お支払い方法は5万円税別の前金、全額お支払いかを選んでいただきます。前金の方は、商品到着時に残額をお支払いいただき、入金確認後に発送いたします。前金でもクレジット可能です。商品帖からでも前金or全額かを選べるようにします。受注後のキャンセルは不可で前金の返金も出来ませんのでご慎重に。サイズは3サイズから選べます。Mで着丈76、身幅60、肩幅49、袖丈60。Lで着丈78、身幅62、肩幅51、袖丈61.5。XLで着丈80、身幅64、肩幅53、袖丈63。写真はネイビーM、フレンチグレーLです。XLのサンプルは用意が無いです。幅広い気候に対応する生地なので、中はTシャツでもカシミヤニットでもOKですが、どこをメインに着るかでサイズチョイスが変わってくる方もいると思います。僕( 177/66 )だとLですね。金土はフィッティングしながらの、サイズオーダーが可能なので是非、店頭にいらしてください。前回の手記にもあるように、KAKINOHANAREの方で受注会は行い僕が対応させていただきます。一般発売は未定です。既にドニカバをお持ちの方にも、別の商品に見えるような新しさを感じられるものだと思います。是非、このタイミングをお見逃しなく。

 

 

 

 

 

そしてそして。今回はもう1型。2022年春夏にリリースした作りかけテーラード”SAL2″の新色も出します。大好きなジャケット。春と秋にずっと着てる。この超マニアックなジャケットの詳細は2年前の手記を読んでください。こちらです。この作りかけ感はデザイナー自身の手でしか作れない。いまだに再販の声が多く、ただ、時間がかかって大変らしくて今まで逃げられてた笑。今回は断れないようにしっとり口説きました。前作と同じイングランド生産のリネン。その色違いで、青緑と生成り無染色のシャンブレー。色名はネイビーMIXとなってるけどちょっとグレー感もあって、このリネン生地が太番なので両色がちらつく。おやじ感満載の前作に比べて、今回はもっと着こなしやいはず。写真だとカチッと硬めに見えてしまうけど、角が取れてとことんこなれてくるJKTです。いつも着ていると、それどこの?となる。写真家の十文字さんにも褒められた。これもデニムでラフにが気分ですが、何となくカーゴ合わせてみたくて久々にM51履いた。何となく今M47ではなくて、M51かM65か。そろそろ出番か?軍パン。サイズはMで着丈74.5、身幅52、肩幅44、袖丈61。Lで着丈77、身幅55、肩幅45、袖丈62です。最近、提案しているようなテーラードよりやや身幅が大きめで、写真はMを着ました。ダサめなTシャツにラフに合わせるか、反対にドレスシャツの洗いざらしか。こっちは春の新作なので、明日からの即売。やっぱり沢山は作れてません。同じく金土にHANAREで店頭発売、日曜正午から商品帖です。今週の日曜のみ僕はお休みで、三浦くんが立ってくれる予定です。どちらも商品帖は柿乃葉の方に上がるので( 混乱させてしまいそうですが )宜しくお願いします。

 

 

 

 

2年前の私物の写真。リネン100なので当然シワも入るし、ハ刺しステッチなんかは次第にほつれてくる。シャツや麻ニットなんかの時は気にならないけど、中にTシャツという格好をする時に少し大きく感じてしまって、縮めてやろうと勢いで去年の秋にさっと水洗いした。意外にほんの気持ちしか縮まなかったけど、この洗いで余計にエッジもほつれて副資材もヨレたのか、さらにかっこよくなった。普通に着ていてもヤレてくるけど、いつの日か自己責任で風呂場に直行も有り。同じ生地なので参考としてこの週末は私物を店に展示します。それでは、ensou.の受注と即売をお楽しみください。

 

 

 

 

24.2.16 Fri – 2.17 Sat @KAKINOHAHANARE
24.2.18 Sun / 12:00 – 23:00 @柿乃葉商品帖

Order Event
Ex Doni’s Coverall “Ultrasuede”

Ultrasuede
Lining – Cotton
Navy / French Gray
M / L / XL
148.500 tax in ( 135.000 )
Delivery Date / July – August 2024

24.2.16 Fri – @KAKINOHAHANARE
24.2.18 Sun / 12:00- @柿乃葉商品帖

Ex Sal 2
Linen Chambray ( England )
Lining – Cotton ( Back ) / Cupro ( Sleeve )
Navy Mix
M / L
143.000 tax in ( 130.000 )
ensou.