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カシミヤフリースドッキング

 

円安、物価高。この先、どこまで価格は上がっていく?という、この業界と服バカ人が抱える先行きの不安。デザイナーも、僕らバイヤーもどうなるんだ?と常に気にしている。そのひとつの解決方法として”好きなものを沢山買う”ではなく、”1つのものを変化させて沢山着る”はどうか。柿乃葉で展開中のこれや、HANAREで個人買いしたこれもそう。春はこう着る、冬はこう着る、今年はこう着る、来年はこう着るを、1つの服が姿形を変えることで補っていく。四季がある日本では沢山の服が必要になるが、秋から春まで1つの商品を着続けられるなら、それは便利なことだ。物も増えない。かく言う僕の衣装部屋は破滅寸前であるが。

 

 

 

 

 

 

今作の意思としては、去年のこれと同じ。プレスされたスラックス、そしてテーラードJKTを崩してくれるアウターを探していて、このARMYコートに行き着いた。アメリカとフランスのミリタリーの足し引きに、ヒップが隠れるくらいでパツンとぶった切った、絶妙なショートとハーフの中間丈。シェルはビンテージのUKベンタイルを解体、分析して、打ち込み本数など全てを同レシピで高密度に織り上げたそうだ。そこにワッシャーをかけてハリとくたり感を出している。思い描いていたドレス崩しにもドンピシャで、オフには地元で子供遊びにも最適、少しの雨なら問題ないし汚れたら洗えば良い。裏を見るとライナーベストがガッチャンコされていて「試しに取っちゃって良いですか」と、これを単体で着てみたら無数のコーディネートが広がっていった。これだ。こういうのを今1番求めていた。さらに、コートも反対返しにしたら、オフ白のスノーパーカみたいだ。このシェルの方は何も変える必要がなかった。スラックスやテーラードとの相性を考えると、カーキとオフ白というわかりやすいミリタリー感があった方が都合良いからだ。ライナーのベストが今作の肝である。コットンパイルもすごく素敵だが、ここを強めにアップデートすることが自分の理想に近づくと思った。秋から春まで色々な着方をしながらぶっ通す。松村さんと議論を重ねて、せっかくなら真冬に向けて保温性、軽さ、気持ち良さ、その全ての100点を狙うことにした。カシミヤフリースのライナーベストが出来た。混じりっけなし、カシミヤ100のフリース。メーター単価を聞いたが恐ろしく高い。色は(最初はオレンジ案もあったが笑)ここは汎用性が大事とグレージュにした。

 

 

 

 

 

 

ゆったりとしたコートの内側につくベストなので、基本的にはオーバーベストとして機能する。ベスト単体でもボタンで留められるし、テーラードの上で崩しに使ったり、ニットの上、Gジャンの上、レザーの上、何でも着れる。着てないと思えるほど、軽い。そしてこのARMYコートのカーキ面だけでなく、裏返しのオフ白面の上にも着れるし、このわかり易いレイヤー感が、スラックスに革靴であってもガチャっと外してくれる。サイズ2で着丈87、身幅67、毛回し75、肩幅50、袖丈63。サイズ3で着丈89、身幅69、毛回し77、肩幅51、袖丈64.5です。ベストはどっちのサイズも同寸で、着丈76、身幅65、毛回し65、肩幅46。オーバーコートって言っていいサイズ感なので、何の上にでも着れるはず。サイズ選びはスタイリングと着丈のバランス。ウエストのドローコードを絞ることもできるし、袖を折り返しても可愛い。ライナーを取ったり、付けたりで日本だと6、7ヶ月くらいは着れそう。ファッション的にも振れるが基本はベーシック。こういうのが1番着る服。金土の店頭営業、日曜正午に商品帖を更新します。

 

 

 

 

 

 

 

23.12.1 Fri – 12.2 Sat
柿乃葉 / 12:00 – 17:00

Ex Army Coat with Cashmere Fleece Vest
Cotton Ventile – Shell
Cashmere Fleece – Lining
Khaki ( Greige )
2 / 3
198.000 tax in ( 180.000 )
MAATEE&SONS